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鴉が手紙を書かないのかと何度も聞いてきたので、桑島さんと勾玉野郎に手紙を書いた。
鴉はフンフンと息を荒くして、手紙を届けに行った。
「Aさん、ご飯の時間ですよ！」
コンコンとドアがノックされたと思ったら、ドアの向こう側からしのぶさんの声が聞こえた。
「はーい」
私は返事をし、筆を置く。
墨汁を片付けていると、しのぶさんが病室に入ってきた。
「写経をされてたんですか？」
「はい。女の人が、持って来てくれたので」
きっと、あの女の人の知り合いに、お坊さんが居るのだろう。
お坊さんと言えば、先生は元気にしているだろうか？
勾玉野郎はお寺の事を話したがらなかったし、光里さんがお寺に居た期間は、短いだろうし……
「どうかしましたか？」
しのぶさんが私の顔をじっと見ている。
私はハッと我に返った。
「あ、いいえ。昔、お坊さんにお世話になったので」
「そうですか。私も、お坊さんをしていた鬼殺隊員の方にお世話になったんです」
しのぶさんは食事を乗せた膳を机の上に置いた。
「もしかしたら、貴方のお世話になったお坊さんと私を助けてくれたお坊さんが知り合いかもしれませんね」
それはフラグというヤツでは？？
二次元って、割と共通の知り合いが多いし。
もしかしたら、その可能性もあるかもしれない。
「手紙を書いても、一度も返事がなかったので、もしかしたら何かあったんじゃないかと思ってるんですけれど……！」
勾玉野郎は無事だし、光里さんも普通に仕事しているから、鬼に襲われたとかじゃなさそうだし……
「返事が来ないのは心配ですね……」
眉を顰めるしのぶさん。
便りが無いのは良い便りって言うけれど、無かったら心配である。
「私から聞いてみます。そのお坊さんのお名前は？」
「えっと、悲鳴嶼行冥という人なんですけれど……」
私が名前を伝えると、しのぶさんは目を見開いた。
おっ、もしかしてしのぶさん、先生の事を知っている？
「Aさん……その人は今、鬼殺隊員で、柱です」
しのぶさんの言葉に、開いた口が塞がらない。
「……はっ？？！」
やっと出てきた声は、掠れていた。
「悲鳴嶼さんは、私を助けてくれた鬼殺隊員です」
お知り合いに居るなんてレベルじゃなくて、ご本人様だったらしい。
しかも、柱？！
「そ、そうですか……」
もしかして、私が家に引き取られた後に、鬼殺隊に入るために、育手の元へ行ったのだろうか？
でも、他の子供達は……？
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作者名：そうや | 作成日時：2020年8月14日 10時
