【鬼滅の刃】ニワカなんで（3） (ページ3)

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暫く待っていると、最終選別が始まった。
勾玉野郎が私の腕を引っ張りやがったので、私は勾玉野郎について行く形で木の生い茂った森の中へ入った。

「えっ……試験なのに！？一緒に行動するの？！」

「何、訳解んねぇ事を言ってんだ」

勾玉野郎の行動が理解不能すぎて挙動不審になる私の両肩を、勾玉野郎は掴んだ。

「あのな、最終選別の内容は、この山で生き残る事だ。それ以外は何も言われてねぇんだよ。誰かと手を組もうが、鬼から逃げ続けようがな」

「成程」

勾玉野郎の言葉に納得した。
この山の中で七日間生き残れば、何をしていようが合格なのだ。

「お前は俺と一緒に行動しろ。いいな？」

待ち時間の時に勾玉野郎がずっと私の隣に居た理由って、他の人と私が組まない様にする為か。
同門で、しかもお互いの癖を知っている方が連携を取りやすいしなぁ……

「解った」

私が頷くと、勾玉野郎は満足そうに口角を上げた。
鬼の気配はまだしないので、勾玉野郎と少し距離を開けて歩く。

夜に出歩いた事なんて、路上生活を含めなければ数える程しか無いのだ。
夜って、こんなに寒かったっけ？
夜って、こんなに静かだったっけ？
夜って、こんなに暗かったっけ？

緊張からか、寒さからなのか、指先が悴んでいる。
両手にはぁと息を吹きかけて、手を擦った。

「寒いのか？」

「冷え性なんでね」

お前は子供体温だから、そこまで冷えてないだろ。

暫く手を擦っていると、遠くで断末魔が聞こえた。
鬼に襲われたか、足を踏み外して崖から落ちたか、怪我をしたのか……
鬼に襲われる可能性が高いが。

「別の場所に移動するぞ」

「あ、うん」

勾玉野郎の指示に頷く。
声の聞こえた方向とは真逆の方へ走る。

七日間も鬼が彷徨く山で野宿をしなきゃいけないのだ。
一々見ず知らずの他人の元へ駆けつけて助ける義理は無い。
私は別にヒーローじゃないんでね！
鬼殺隊になる予定の奴の思考回路じゃねぇな。
無闇に手助けをしてしまえば、試験にならないし。
私は勾玉野郎と一緒に行動してるけどな！
自分のやっている事と思っている事が矛盾しているが、アレはアレ、コレはコレである。

「あっ」

鬼の気配がした。
勾玉野郎が小さく声を出した私を見る。

「なんだ？」

「鬼」

凄い勢いで、こちらに走って来る。
勾玉野郎が刀を構えた。
私の真横に、勾玉野郎が刀を振り下ろす。
鬼の首が飛んだ。

「うっわ」

鬼の血が頰に付いてしまった。
たまらず顔を顰める。