まともな私は米花町専属の呪術師

４３.異質の恐怖 ページ44

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それから歩美ちゃんが解放されて、歩美ちゃんの言われた通り校門まで無我夢中で走った。



゛5人一緒に、後ろを振り向かないで。゛



名前さんからの伝言通り、俺らは5人一緒に走り出した。決して後ろを振り向かなかった。



俺は今までの人生で、普通の人なら体験しないような怖い経験を沢山してきた。



血の飛び散る凄惨な事件現場や、原型をとどめてないようなバラバラの死体や、殺人事件の犯人がナイフ片手に追いかけてくるなど。



高校生探偵として名を馳せてた時も、コナンになってからも。



でも、それでも、これほどの恐怖を経験したことはあるだろうか。



ジンやウォッカたち、黒の組織のヤツらとはまるで違う。



この感情をどう表現していいのか分からない。



だけど、さっきの瞬間ほど、死を身近に感じたことは無かった。



ただ己の恐怖に従って、小さな歩幅でがむしゃらに走った。



すると、ようやく校門が見えてきた。



校門前には車が止まっていて、俺らが一目散に校門から出てくると、黒い高級車にもたれかかった、スーツ姿の男性がいた。



この人も、名前さんと同じく独特の雰囲気だ。目つきも鋭い。



俺たち5人はまとめて車に乗せられ家の場所を教えると、ナビに打ち込むなり重い空気で車を走らせた。



こんなに重い空気で、誰も何も言葉を出さなかったが、純粋な子供の好奇心とは恐ろしい。



アイツら3人は、車が止まると一斉に聞き出した。



でも、俺も好奇心はある方だ。探偵は好奇心があってナンボだからな。



すると、呪いと返ってきた。訳が分からないから追求しても、呪いは呪いです、としか返ってこない。



…あまりにも謎が多すぎるから、推理しようにもしようがない。



すると、スーツの男性はバックミラー越しに、俺たちにこう言った。




゛今日のことは忘れなさい。知らなくても生きていける。゛と。




知らなくても生きていけるなら、なんでスーツの人と名前さんは知ってんだよ。



モヤモヤは更に深まるばかり。



その後、毛利探偵事務所まできっちり送ってもらい、慌てて出てきた蘭と小五郎のおじさんにスーツの男性は、呪いに襲われたとだけ言い残し、車へ戻っていく。



当然引き止められて、呪いは何なのかと問い詰められていたが、やはり呪いは呪いの一点張り。




そして今日、名前さんが阿笠博士の家にやってきた。



あのことを話してくれるらしい。





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