まともな私は米花町専属の呪術師

１０.大人か子供か ページ11

٭





謎が深まる彼女に、核心を突く質問をした。




「お酒は何が好き？」




この質問だけで、組織の人間なら必ず勘づく。



だけどこの人は…




「えっ、お、お酒？」



「私未成年なんですよね……だからお酒のことはよく分かんないです。アハハ」




まさかの未成年。



お店に入ってくる立ち居振る舞いや目付きからして、20歳は超えていると思っていた。




「お姉さん、未成年だったんだ！すごく大人っぽいから、お酒もう飲めると思ったよー！」



「ヤダっ…本当ですか！？」




思ったことをそのまま口に出したら、何故か照れだした。



これは本当に何でか分からない。褒めたつもりは一切ないんだけど…




「うん！夜とか飲んでそうだもん！…例えば……洋酒とか…？」



「洋酒ですかー。どんな味がするんだろう。何だか独特の風味がしそうですね！私、初めてのお酒はほろ〇いって決めてるんです！」



「あ、そうなんだ…」




…なんか、組織の人間どころかその辺の高校生みたいな感じだな、この人。



灰原もこの答えには驚いたのか、袖を掴んでいた手を離し、彼女を探るように覗き込んでいた。




「お待たせしました。ハムサンドと、ウーロン茶です。」



「わぁ…！ありがとうございます！」




安室さんがハムサンドを持ってくると、目をキラキラさせて喜んでいた。…なんか子供みてぇだな。




「美味しい！！」



「それは良かったです！どうぞごゆっくり。」



「あっ、安室さん！ちょっと…」




俺は灰原と安室さんを連れ、彼女からなるべく離れれる入口付近に移動した。




「安室さん、あの人のことなんだけど…」



「疑っているのかい？組織の人間だと。」



「…うん。」



「恐らく、彼女は組織の人間じゃない。」



「なんで？」



「1.僕が注文を聞きに行った時、僕の顔に何も反応しなかったこと。主に日本で活動している組織の人間は、だいたい僕の顔を知っているからね。もし僕の顔を知っていたら、何かしら察するところはあるだろうし、反応もするだろう。」



「確かにね…。」



「2.彼女が洋酒に反応しなかったこと。君も知っての通り、洋酒の名前はヤツらのコードネーム。コードネームを与えられてないにせよ、彼女は未成年だからと特段反応を見せなかった。以上の理由さ。」





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