望まぬ出会い ページ41
【夢主目線】
待合室に居るように言われてから早二十分……。
窓から差し込む日差しが暖かく室内を照らしていた。
“平和”
自分が監獄の中でスースーと鼾を書いている間、此処の探偵社の皆さんや他のマフィアの構成員達は血と汗を流し、この街を守る為に闘っていたのだ。
何も出来なかった。ふと虚しくなって目を閉じた。
しかも黒服の会話を盗み聞きした限りでは下級構成員の半数以上が犠牲となったらしい。
此の犠牲者数は過去トップクラスの数という事だ。
しかし彼等、探偵社の協力がなければ倍の犠牲者が出ていたという事だった。
一体彼等は何者なんだ……。
?「───おやおや、有名人が遂に御用ですか。」
後ろから低く艶のある声がした。
気配も無く近寄って来た声の主に私は驚いて後ろを振り向いた。
────!!
此の丸眼鏡と色黒子。何処か昭和じみた装いの此奴は……!
安吾「探偵社に御一人で…嗚呼、御父様は御一緒でない?」
私が座るソファの背もたれが軋んだ音を立てて沈み込んだ。
両脇を見ると彼の病的に白い掌が見えた。
耳元で恐ろしく色気のある声で後ろから囁く。
安吾「見ない間に妙に幼くなりましたね。“ポートマフィア”で何か特効薬でも飲まされましたか?森さんの幼女主義に即して。」
「………な、何故…此処に……?」
安吾「まんまと太宰君の策に嵌められましたよ。そうしてやっと此処での療養を終えて解放。見返りにまた面倒な約束事まで取り付けられて……。」
そう此奴は幼少頃、私の世話をしてくれていた構成員に耳にタコが出来るほど言われていた。
«此奴にだけは会うな»
そう言われて見せられた写真が正に此奴。
安吾という男は特務課の犬。会えば軍警に即刻通報の後、国際警察へ送られ、尋問で何をされるか分からない。
そうすれば彼の人にも迷惑が掛かる。
絶対に。絶対に。会ったら逃げろ。
“逃げなきゃ”
頭の中で其の一定信号が強く鳴り響いた。
身体に勢いをつけてソファから腰を上げようと肩に力を入れた時、不意に脳内に彼の声が響いた。
────中也(敵に後ろを取られた時は、其奴の手首を捻りながら背中に乗せて前に放り投げる。之がまあ…一番効率的だろうな。)
そうだった。今の私は単なる子供じゃない。
横浜の裏社会の頂点に君臨するポートマフィアの幹部直々に体術の講習を受けた子供。
それが私。Aなのだ。
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時