【文スト】選んで生まれた訳じゃない [第四章]

報連相はお約束 ページ40

【目線なし】


福沢「顔見知り。しかも会話もあると聞いたが、どういう事だ？」



現在、社屋の会議室にて説教中の探偵社員。

計四名。



谷崎「会った場所が業務外の社員旅行の際だったので大目に見てもらえませんか……？」


国木田「そうなんです。偶会って、偶会話を交わした所存でして……。」


内二人が懸命に言い訳を熟考する中、矢張り此の男素直さによって其れらを無駄な努力として葬り去るのであった。



賢治「それから一緒に食事して、道化芝居も見ましたよね！愉しかったです！」


敦「賢治さん…之は思い出を語り合う会ではありませんよ……。」


心做しか賢治を除く他三人の顔が青ざめたところ其の様子を傍観していた棒付き飴を頬張る乱歩が言った。



乱歩「君らのここまでの悪行を推理して心情と共に代弁してあげよう！嗚呼、之は勿論揚げ足取りでは無く、僕を利用した事に対する報いだから安心し給え！」


そう言って乱歩は前に出ると社長に目配せをした。

社長は“構わない”と言う様に腕を組んだ。




乱歩の推理は実に的確だった。


先ず不可解に急遽決まった此の社員旅行の日程は太宰が仕組んだ事だと見破り、

社員旅行先での不祥事(マフィア構成員の救出に肩を持つ事)を隠蔽する為、態々、彼女を医務室では無く太宰の部屋に運んだ事。

それから此の不祥事が揉み消される様、意図的に、マフィア研究員の梶井救出の肩を持った僕を社長に告げ口した事。

乱歩は全て見破っていた。



乱歩「此の悪行の大半は国木田と太宰によるものだろうな。作戦に其の特徴が滲み出ている。」



そう言われた国木田は明後日の方向を見ていた。

然り、放心状態であった。




乱歩「国木田の計画には一貫性がある上に意図が見え々だし。太宰の計画は裏の裏を描くような独創性に優れているけどそれが仇となって癖が出てしまっている。」


乱歩は再び棒付き飴を頬張った。



乱歩「相棒として活躍するなら其れらが調和して利を齎すことは確実だろうけど───」



そうして自らの席に付いた。



乱歩「まあ、これに懲りたら呉々も僕を利用しようだなんて稚拙な考えを持つことはやめるんだな。以上だ。」



賢治「おぉー！凄いですね！全部見破られちゃいましたよ！国木田さん！」




こうして国木田は社長からこっ酷くお咎めをくらい、他の三人は悪気は無いと寛大な目で見られ特別な処置は下らなかった。

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