近い内に ページ16
【夢主目線】
そもそもおかしいのだ。
中原幹部は異能を使わずにどうやってあの空中空間まで来たのだ?
幾らマフィアの主砲とも呼ばれる幹部でもその行動は余りにも人間味に欠けている。
しかも全く近付いてくる気配は感じなかった。
まるで突如其の空間から姿を現した様な───。
「貴方は……誰ですか………?」
不意に口からそんな台詞が零れると、幹部はゆっくりと肩を落とした。
それに、少し距離を取ってみてから気付いた。
中原幹部にしては余りにも身長が高すぎる。
すらっとした長い脚に余り鍛えているとは思えない腕。
ふつふつと絶えず疑問が沸き起こった。
?「おぉー流石、ドス君の娘さん。勘が鋭いなァ!」
聞き覚えのあるこの声……。
道化役とあの襤褸屋敷に居た────
?「ハイハーイ!じゃあ質問でーす!!僕の名前はなんでしょうか!」
「……わ、分からない…です。」
?「あちゃー不正解!じゃあ名前だけでも覚えて帰ってネー!」
彼はそう言うと律儀に帽子を取り己の胸に当てお辞儀をした。
ゴーゴリ「僕の名前はゴーゴリ!最近は君のお父さんなんかと活動していて、まあ、あけすけに言うと“テ・ロ・リ・ス・ト”かなァ!」
「真逆、私を……。」
私は身を怯ませると共に顔を強ばらせた。
ゴーゴリ「あー。心配しないで!君はあくまでも“ギルドが攫って行った”って云うシナリオだから。」
「………シナリオ?」
ゴーゴリ「嗚呼!君のお父さんが何ヶ月も考案し続けた精緻かつ邪悪なシナリオさ。」
そう言ってゴーゴリは鬘と思われる中原幹部風の髪を掴み首を傾けながら其れを取った。
ゴーゴリ「まあ数ヶ月前とは言わず、もっと前からドス君の頭の中には具体的な構図が出来上がっていたんだろうけど。」
彼の地毛は白みがかった透き通る様な金髪で襟髪の部分から長く編み込まれた髪が垂れ下がるのが特徴的だった。
ゴーゴリ「だから“僕等”は誰一人として其のシナリオに歯向かわないのさ。」
「“僕等”とは……?」
ゴーゴリ「まあ、秘密事は多い方が楽しいでしょ?それに……。」
彼は人差し指を唇に当てて艶美に微笑んだ。
ゴーゴリ「お仲間が迎えに来た様だし。」
気付けば此方に向かって二、三台の黒塗り車が列を為して走ってくる。
あれはポートマフィア所有の車だ。
ゴーゴリ「“近い内”にまた逢おうネ♪」
そう言って彼は跡形もなく姿を消した。
195人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時