餌釣り ページ4
【夢主目線】
構成員1「────参謀長官!何処にいらっしゃるのですか?!参謀長ッ!」
ふと扉の外から私を呼ぶ声がした。
咄嗟に今しかないと思った私は肺に空気を取り込み出せる限りの大声で叫んだ。
「────囚人が逃げ出したぞッ!!」
太宰さんと中原幹部は顔を見合わせて心做しか顔を青ざめさせた。
其の後駆け付けた構成員達と自室に帰って安堵していた中で入って来た一報はとても安堵出来るものでは無かった。
構成員[本部に告ぐッ!二つの案件はどちらも失墜!繰り返します!二つの───]
全身の血が引けていくのがはっきりと分かった。
下手な鉄砲も数を撃てば当たると云うものだが…。
ここまで全てに置いて失敗に終わると何もしたくない様な倦怠感に襲われて何だか腹の奥がむしゃくしゃして居ても立ってもいられなかった。
私は慌てて首領室にひた走った。
────バタンッ!!
私は最早ノックさえも忘れて室内に飛び込んだ。
中では首領がまるで私が来る事を分かっていたかの様に肘を着いて掌を組んでいた。
「────両件共に………。」
私は首領に咎められる恐怖からだろうかそれとも自分の凡能さが証明された事への羞恥心からだろうか声が震えて仕方がなかった。
首領「自らをそんなに責めることはないよ。Aちゃん。まあ之が【敢えて】の範囲なら…。」
首領はやけに【敢えて】の部分を強調して言ったので私の額からは一気に油汗が吹き出した。
然しこんな蛇に睨まれた蛙の様な状況下で私はある案を思い付いた。
首領のご機嫌取りがてらに言ってみる事にした。
「……首領。」
首領「なんだね。」
其の返事は静かな威圧を感じた。
「次の作戦で必ず組合の使徒を捕らえます。」
然し此れは根拠の無い自信に過ぎなかったのだが。意外にもすんなりとこんな事を言ってしまった。
首領「其れは如何にして?」
「私自らが囮に成りましょう。」
首領「君は組合にとって重要な物だと自負しているという事で良いのかな。」
「はい。」
首領「はて其の根拠は。」
恐ろしい程に確信を突いてくる彼に今再びの恐怖心を覚えて声を籠らせた。
真逆、組合が父親の命令で来る刺客と知ったら彼は私をもう人として扱わないだろう。
人として扱わなくなったら次は唯の餌である。
だから決して【父親が送り込んだ刺客だから】と口が滑らない様に固く閉ざしていた。
195人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時