焦りは禁物 ページ1
【夢主目線】
梶井「────泉鏡花が攫われました…。」
珍しく声を落として任務失敗の一報と共に衝撃の事後報告が入ってきた。
彼女はこの間の重役会議にも居た筈。故に彼処
(探偵社)に変に口を割られては困る。
そうと来れば最後。此方の思惑は全て公の元に晒されここまで練りに練った作戦は最早芥同然の価値となる。
「第二波を投じて泉鏡花を取り返す。伴って中島敦を捕えられた暁に貿易船に乗せ二十ノットで沖へ航せよ。」
マフィア内の全回線を通じて私はその様に言った。
聞く所によると例の電車に乗り合わせたのは運悪く与謝野女医だったらしく、其の異能力は治癒能力である。
梶井さんの【檸檬爆弾】が敵わないのも無理はなかろう。
その後、芥川君が自らを推して人虎の捕獲に当たりたいと言ってきたので其れを尊重して向かわせた。
「捕獲に当たって使用するトラックはカルマトランジットから借入れよ。その後の始末は───」
芥川君の部下にそう伝えると何とも礼儀正しく一例して長官室を出て行った。
それにしても此の部屋は心が落ち着かない。
また部屋を装飾する此のアンティーク調の家具は私の趣味ではない。
どう願っても彼の良報を待つしかないのでその間は休憩を出されていた。
私は此の落ち着かない部屋を出て歩き回る事にした。
..................
気付けば地下迄来てしまったらしい。
────心中は……一人では出来なーい…。
何処からかそんな声した。
────カチャ…ジャリン……
と共に遠くで金属の擦れ合う音が聴こえる。
確か今現在、地下のあの場所に繋がれて居る者と云ったら。
複雑な気持ちとは裏腹に何処か其の声が懐かしく思えてしまったので脚は自然と其方へ向かっていた。
────コツ…コツ…コツ…
足音をだだっ広い其の空間に木霊させながら冷たい石の階段を一歩、又一歩と降りた。
一方で声の主は此方に気付いて其の頭を垂れた儘嘲笑した。
?「……今度は誰が私を甚振りに来たんだい?」
其の瞳は確かに私を捉えて再び嘲た。
?「此れは々……光栄極まりない…参謀長官殿…随分顔付きが変わったね。痩けて父親にそっくりだよ。」
元々体重を気にする質だったので“痩けた”という表現程嬉しいものは無かった。
唯、其の後の“父親にそっくり”という部分が私の癪に障って私はそっぽを向いた。
すると其の声は冗談だと言ってケラケラと笑った。
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時