名探偵の屁理屈 ページ37
【乱歩目線】
僕はあの娘を気に入った。
何故なら啄けば啄く程ボロが出るからだ。
彼女にはまだ隠された真実がある筈だ。
僕は密かにあの娘について調査してみようと決心した。
それにしても堪らない。
僕が核心を突く度に様々な表情を見せる。
「帰ってきたよー。」
僕は再び社屋の扉を開けた。
中で社長が心配そうに窓の外を見つめていた。
僕は一目で社長があの娘の事を心配しているのだと分かった。
「そんなに心配なの?」
僕は嗤った。
すると社長はやっと僕に気付いた様で、“ご苦労だった。”と一言。
僕は椅子に深く腰掛けた。
社長も向かいの椅子に座って腕組をして溜息をついた。
時折遠くから聞こえる暴走車のエンジン音だけが部屋にこだました。
「黒か白かで言ったら確実に“黒”だよ。何で逃がしたの。」
社長「あの歳の娘まで構成員に取り込むとは、マフィアも変わらぬな。」
「敵に対する認識が甘い我々も変わらないけどね。」
最初の質問に答えようとしない社長に痺れを切らして、今度は少し声を荒らげた。
「ねぇ。何で逃がしたのさ。僕が研究員救出の肩を持っただけであんなに怒ったのに。自分は何をしてもいいって?」
社長の伏せていた目が開いた。
僕は唾を呑んだ。
社長「乱歩。」
僕の名前が呼ばれた。僕は社長の目を見た。
社長「お前の瞳には光がある。あの娘にもお前と同じ光があるのだ。」
「マフィアの瞳に光なんてないさ。」
社長「彼女はまだ染まっていない。あの瞳は死んではいなかった。」
「瞳だけじゃ証拠にならないよ。」
社長「証拠ならある。初め話しかけた時、娘は懐から拳銃を出そうとして止めた。」
「それが何だって云うのさ。」
社長「彼女はまだ狂ってはいない。故に行動の善悪の区別もしている。」
社長はやっぱり気付いていた。
気付いていた上であの薄っぺらい嘘に対応していたのだ。其れを知ったあの娘はどんな表情を見せるだろうか。
社長「瞳に光が宿った芽を潰すことはマフィアがやっている事と同じだ。彼女にはまだ救いようがある。」
そう言って再び其の目を伏せた。
僕は何も言い返す言葉が見つからなくなって黙り込んだ。途端に疲れがどっと出た。
なんてったって今日は一睡もしていないのだから。
僕が大欠伸をすると、社長は笑った。
社長「未成年は徹夜には耐えれぬか。」
其の顔が何時もより優しく見えたっていうのは社長には秘密。
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葵(プロフ) - 零奈さん» 気付いてくれてありがとうございます!変換ミスです…。また何かありましたらよろしくお願いします。 (2018年5月13日 7時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 責任転嫁、で「立花」くんがいるんですけど、「立原」くんじゃないんですか? (2018年5月12日 22時) (レス) id: 92c720ec2f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 鈴里風夢さん» ありがとうございます!ご指摘嬉しく思います<(_ _)>また何かありましたら遠慮なく教えて下さい(**) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 祭鼓@harigaya makoさん» コメントありがとうございます(^^)はい!更新頑張ります!今後ともどうぞ宜しくお願い致します(T^T) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!!あ、序章の方に第二章へリンク出来るようにURLを載せた方がいいかもしれません…余計な口出しでしたらすみません! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 1e78f4766c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年5月1日 23時