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不幸中の幸い ページ4

【目線なし】




ポタ…ポタ…ポタ…






「……………ン…」


梶井は額に水気を感じて意識を取り戻した。








?「……お、やっと目が覚めたリサーチャー。」





梶井「…………ふぐぁっ?!?」

彼はその声以上に目の前に広がる光景に驚嘆の声を上げた。




頭上には麻縄で吊るされた巨体な氷の塊。



梶井「………ふぁ……む…。」

彼は猿轡を噛まされており言葉にならない声を発した。

パッと見ここは浴槽の中だった。



今彼が入れられている浴槽の底には上の氷が溶けた水だろうか、既に少量の水が溜まっていた。




しっかりと手足も麻縄で縛られている。




?「あの…梶井さん……。」

梶井はここで其の声の主を確認した。




ツンと跳ねたもみ上げが特徴の彼は確か…。

数ヶ月前にポートマフィアに入ったばかりの…。




彼は親切にも梶井の猿轡を取ってくれた。





梶井「…ッ…君は!中原君直属の戦闘部隊の中栗君!」



中栗「………。」



「助けに来てくれたんだね!こ、此処は何処なんだい?!誰がこんな事を!何時から私は此処に?!」


中栗「………。」




彼は下を俯いたまま何も喋ろうとしなかった。



……ピチャン。また梶井の額に氷から溶けだした雫が当たった。



梶井はふと彼の掌が目に入った。






梶井「……!!その怪我どうしたんだい?!」





彼の掌は何か鋭利な物で切った様な酷い傷があった。


中栗「………。」






梶井「………中栗君?」




中栗「…何故こんな状況でも貴方は他人の心配をするのですか?」



梶井は一瞬戸惑ったが目を伏せ、力なく微笑んだ。


梶井「……私が組織に協力出来ることといったら自作の爆弾を開発する事と負傷した構成員の治療位しか出来ないから……。」



中栗「………。」



梶井「私らしくない臭い台詞だけどね、さぁ!本部に帰って僕が手当しよう!無断欠勤で首領怒ってるかなぁ…。」





中栗の頬を一筋雫が伝った。



梶井「………何故泣いているんだい」

梶井は笑った。









小栗「………梶井、さん。私の名前は…私の名前は……、小栗虫太郎です。」




梶井「ははは笑、私とした事が、すまないね小栗君。」







小栗「……梶井さん…すみません…っ!!」

小栗は浴室を出て二度と帰ってくる事は無かった。





溶けだした氷の水位は梶井の腰が浸かる所まで上昇していた。







ただ水滴が垂れる音が響く浴槽で梶井は失笑ともとれる笑みを浮かべた。

[悪魔の舘] 其ノ壱→←決められた偶然


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(プロフ) - 零奈さん» 気付いてくれてありがとうございます!変換ミスです…。また何かありましたらよろしくお願いします。 (2018年5月13日 7時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 責任転嫁、で「立花」くんがいるんですけど、「立原」くんじゃないんですか? (2018年5月12日 22時) (レス) id: 92c720ec2f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 鈴里風夢さん» ありがとうございます!ご指摘嬉しく思います<(_ _)>また何かありましたら遠慮なく教えて下さい(**) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 祭鼓@harigaya makoさん» コメントありがとうございます(^^)はい!更新頑張ります!今後ともどうぞ宜しくお願い致します(T^T) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!!あ、序章の方に第二章へリンク出来るようにURLを載せた方がいいかもしれません…余計な口出しでしたらすみません! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 1e78f4766c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年5月1日 23時

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