【文スト】選んで生まれた訳じゃない[第二章]

責任転嫁 ページ23

【夢主目線】


太宰さんに本部ビル迄送ってもらってから何故か懐かしい気持ちで自分の部屋に戻った。



だが私の気持ちは確りと沈んでいた。

それは私のせいでマフィアの主戦力となる異能力者達を負傷させてしまったからだ。

またそれだけではない。


【無断欠勤】これはこの縦社会において許されざる事だ。



そんな私の失態が重なって本部ビルに入った途端に他の構成員達は皆白い目で私を見た。



自室で言い訳をあれやこれやと考えていると誰かが部屋をノックした。


ノック音の後、入って来たのはこれ又沈んだ表情を見せる立原先輩だった。




立原「……A帰って来たか。首領が俺等をお呼びだ。」

私は【首領】という言葉を聞いた瞬間、背筋が氷付いたように固まってしまった。

これで私は入社してから二回目の“直々のお呼び出し”を受けることとなった。



私は立原先輩と最上階の【首領室】へと歩みを進めた。





首領室へと続く廊下は真昼間にも関わらず、薄暗かった。






「………先輩も呼び出しですか…？」

私は問うた。

立原「あぁ。銀や広津幹部も呼ばれているらしい。きっと今回一連の事件に関してだろうな。」

先輩は時折声を震わせながら答えた。


扉前の護衛が私達を確認して一礼した。





立原先輩がドアをノックする。


薄暗い廊下にノック音が響く。




立原「失礼します。御呼び出しを受けておりました立原とAです。」



中から「入り給え」と首領の声がした。

私は其の声に何処か懐かしさを覚えた。







部屋の中にはマフィアの重鎮達が長机を囲む様にして座っていた。



普段私が会う事すら難しい幹部クラスの方達だ。

その為私は手汗が尋常ではなかった。



首領「よく来たね。座り給え。」

そう言って優しく微笑んだ。まるで私達が頗る緊張しているのを見透したかの様に。



その長机には副首領である紅葉姉さん、所々ギプスの芥川先輩、黒蜥蜴長の広津幹部、顔の彼方此方に絆創膏とガーゼが貼り付けられた中原幹部、口元を仮面劇で覆った銀先輩、点滴棒を横に着ける不機嫌な顔の梶井さん。

そして今回私が初めて見た和服の少女。






首領「今日は良く集まってくれたね、我がポートマフィア主力の諸君。今日は近日中の襲撃が見込まれる異国組織への対策とある議題について話し合いたいと思う。」




首領は肘を着いて手を組んだ。

どうやら昨夜の件には触れない様だった。

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