狂犬と狂鼠 ページ22
【夢主目線】
私は此男性について大変な誤解をしていたらしい。
見るからに怠惰な雰囲気を演出する装いと其の容姿。放浪癖があるとまで聞いた。
そんな彼がマフィアに恐れられる理由が全く分からなかった。
マフィアが恐れると言ってもこの男の変わった人物像に戸惑っていただけだろうとしか思っていなかった。
然し、彼の話しを聞くうちに彼が単に変わり者という訳では無く、常人離れの其の思考で千手先まで読む様な策士であることが窺えた。
だが、彼は時折言葉を濁した。また、何処か哀しげな声で語る。
私は彼の“暗い過去”についてもっと詳しく知りたいと思った。太宰さんが私に興味を持つように私も彼に興味を持った。
それは太宰さんと自分の境遇を無意識に重ねたからかもしれない。
そんな太宰さんは自らの友人について教えてくれた。
人を殺さないという今は亡き戦闘員の友人だそうだ。
太宰「名を織田作之助という、彼もまた異能力者だった。其の異能力を使えば彼の横に出る者は居ない程の物だ。だがしかし、彼が戦場で異能力を使う事は滅多に無かった。」
其の友人は【数秒後の出来事を見る】異能だそうで、確かにそれを駆使して戦場で名を残すことなど容易であった筈だ。
私は核心に突く質問をした。
傍からすれば小学生が“何故人を殺してはいけないの”と質問する様な愚問であった。
「何故彼は人を殺さなかったのですか?」
太宰「……それが彼の正義であり信念でもあったんだ。“人を殺めない”というね。彼は人一倍温和でマフィアの血腥さを感じさせない人物だった。」
「……だった。という事は……」
太宰「嗚呼。彼は死んだよ。共倒れだった。彼はそこで敵を殺し、敵は彼を殺した。」
「………お気を悪くしたらすみません。」
太宰「君が気にする事じゃないさ。だけど彼が死んだ事は私がマフィアから逃げ出す切っ掛けになったよ。お陰で今はこうして光の世界で生きている。」
太宰さんはそこ迄語り終わると、私を抱き締めたまま自らの体を仰向けにし、起き上がった。
なので私が太宰さんの膝の上に座る形となった。
太宰「よしっ!そろそろ君を帰さないと君の所のチビッ子幹部が怒るからね。君とは今後も深い話が交わせそうだ。」
彼はにっこりと笑うと私を離して外出の支度を始めた。
もう彼の笑みには嫌悪感を抱かなくなっていた。
私の背中にはまだ彼の体温と微かに彼の残り香が感じられた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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葵(プロフ) - 零奈さん» 気付いてくれてありがとうございます!変換ミスです…。また何かありましたらよろしくお願いします。 (2018年5月13日 7時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 責任転嫁、で「立花」くんがいるんですけど、「立原」くんじゃないんですか? (2018年5月12日 22時) (レス) id: 92c720ec2f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 鈴里風夢さん» ありがとうございます!ご指摘嬉しく思います<(_ _)>また何かありましたら遠慮なく教えて下さい(**) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 祭鼓@harigaya makoさん» コメントありがとうございます(^^)はい!更新頑張ります!今後ともどうぞ宜しくお願い致します(T^T) (2018年5月2日 17時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!!あ、序章の方に第二章へリンク出来るようにURLを載せた方がいいかもしれません…余計な口出しでしたらすみません! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 1e78f4766c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年5月1日 23時