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「うわ、っ…ごめんなさい前見て…な…く……て」
急ぎ足で向かおうとしたからか勢い余って尻もちを付いてしまった
謝ろうと顔を上げればそこに居たのは 蛇みたいな目付きのあの人だった
「別に大丈夫だけど。立てる?」
「う、うん。…平気」
差し出された手を取って立ち上がる
……なんかめっちゃ見られてる
寝癖でも付いてた!?もしかしてめっちゃ怒ってる!?
「あかね、」
「へ?」
「お前の苗字。さっきボソボソ言ってただろ」
「そ、うだよ。…えっと茜色の 茜。」
「へえ、あんま聞いたことねぇ」
「うん、…おんなじ苗字まだあった事ないよ」
そんな話をしていると校内に響くチャイムの音
あ、 なんて 腑抜けた声が重なったかと思えば彼と目が合う。
「30分に教室だっけか。走んぞ」
「まっ…て…ッ」
腕時計を見れば走り出した彼。
慌てて追いかけ用と足を踏み出せば足に走る痛みに思わず立ち止まってしまう
痛みの方に目を向ければ白い靴下が少し赤に染っていた
いつの間にか靴擦れをしていたのだろう。どうせすぐサイズが合わなくなるからと少し大きめのローファーにしたせいだと容易に想像ができる
さっき尻もちを着いた際に運悪く抉れたようだ
「怪我してんなら言えよ、…保健室行こ」
そう言いながら肩を貸してくれる彼は案外優しい人なのかもしれない
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作者名:楪 | 作成日時:2022年2月12日 22時