また会えたら、そのときは (ページ4)

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「あの制服かわいい」と同じように制服に身を包んだ子たちが話しているのを聞いて、気分がよくなった私は、制服を見せびらかしたくなってしまってカフェに入ったり服屋に行ったり予定外のことをしてたらすっかり暗くなっていた。直接ではなくても女の子に褒められることはほぼ初めてだったから普通に調子に乗りすぎた、と反省をしながら電車に揺られる。けれどそのおかげで可愛い洋服もゲット出来たし、私好みのパスタのあるお店にも巡り合えたから悪いことではなかった。家に着く頃には夕飯の時間になってるだろうけれど、何も考えずにパスタを食べてしまったから全然お腹が空いていない。こういう日に限って自分の好物が夕飯だったりするんだよな、と、着くまでの時間潰しにゲームをしようとスマホを手にしたらジェヒョンから不在着信が鬼のように来ていた。

……やばい、楽しすぎて連絡するの普通に忘れてた。変なところで心配性な私は、落としたら困るからとスマホはブレザーのポケットではなく鞄に入れているのだ。それに過去に親しい友達がいた試しがないため連絡を取る人だって限られていて、基本的に必要としていないからあっても無くても生活に影響が出ない。唯一の連絡を取るのはジェヒョンだけど気付けば一緒にいるから、しょっちゅう連絡するわけでもないし。

《公園で待ってるから追い付いて》《遅いんだけど》《なあ》《なにしてんの？》《まだ帰ってないの？》《頼むから返事して》さっきまで浮かれていたのに今はどうしようという気持ちでいっぱいだ。

ずっと口を聞いていなかったのに、ある日突然一緒に登下校した日から、女の子たちはジェヒョンに気に掛けてもらえていいね、構ってもらえていいね、守ってもらえていいね、と証拠を残したくないからか主に悪口は更に加速した。その言葉に間違いはないけれど、たぶん、その子たちが思っているような感情はジェヒョンは一切持っていなくて、私を好きとか、一緒にいたいから、とかから来るものではない。
それを説明できたらよかったんだけれど、そしたら今度はそれをネタにされるのが目に見えていたから黙っていたんだ。

とにかく早く連絡を返さなければならないのに、どう返すのが正解なのか分からないまま放置していたら最寄りに着いてしまって、無事を知らせるのはジェヒョンに電話するのが1番手っ取り早いと操作をしていたら、去年とはまた違うテノールの声を震わせて改札の向こうで私の名前を呼ぶジェヒョンがいた。