また会えたら、そのときは (ページ3)

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何がそうさせたのかジェヒョンの機嫌はみるみる悪くなっていく。大人っぽくてクールだと同級生の子達は言うけれど、実際はその真逆で、ふにゃふにゃしてるし負けず嫌いですぐムキになる。自分の思い通りに行かないとへそを曲げて機嫌が悪いです！ってオーラを出すし。今が正にそうだ。ポケットにしまうと、唇を尖らせて「早く帰るよ」って私のことを気にすること無くスマホを操作しながらずんずん帰り道を進んでいく。途中まで着いて行ってたけれど、不可能だと思う距離になったから追い付くことは諦めて私は私のペースで帰ることにした。

私が好きなドーナツ屋さんが期間限定のメニュー販売を始めたから行ってみようかなあ。寄り道なんて直帰派のジェヒョンがいないときじゃないとできないし、ていうか直帰派じゃなくても2人で歩いているところを見られたくないから学校帰りに出歩くことなんてできない。クラスの子達が話していた新しいアイシャドウも気になるし、新作から定番品まで取り揃えている化粧品屋さんがあるからついでに見て行こう。

来た道を引き返して再び電車に乗り2つ隣の駅で降りる。私たちは住宅街に住んでいるから、どこかに行くのに電車に乗らなければならないのはちょっと面倒だ。ジェヒョンと喧嘩する前は(よく考えたら喧嘩というより一方的にキレられてただけだけど)、お菓子を買いに少し大きなスーパーに電車を使って行っていた。間違えようがないのに「迷子になったら困るから離れないでね」と自分のリュックの紐を私に掴ませていたジェヒョン。今思うと、Aちゃんを守ってあげるのよっておばさんに言われていたから相当なプレッシャーだったんだろうなあ。大体買っていた私のお気に入りのお菓子は、今日アイスを買ってもらったあのコンビニにもあるやつなんだけど、買う場所が違うだけでうんと高級なものに感じてたっけ。

ドーナツは記憶を頼りに、自分の分と家族とジェヒョンが好きなものを買った。ジェヒョンのおじさんとおばさんは何が好きなのか分からないから、とりあえず王道のモチモチしたイメージキャラクターがライオンのやつ。外れだったら外れでどうせジェヒョンが食べるだろうし、こういうのは気持ちが大切なんだ。アイシャドウは気に入った色が無かったから5分程度でお店を出た。正直ドーナツよりついでだったはずのアイシャドウの方が欲しかったからちょっと残念な気もするけれど、入学してから初めての寄り道は気分がよかった。

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