また会えたら、そのときは (ページ2)

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「B組のジェヒョンくんまじでやばい」
『あ～……』
「Aあんまり興味ないよね、あんなにかっこいいのにさ」

私ができること、それは徹底的に他人のフリをすることだった。ジェヒョンは関係なく話し掛けるつもりだったみたいだけれど、私があまりにも必死に他人のフリをしてほしいと懇願するから嫌々折れてくれた。放課後にプリクラを撮ったり、スタバに行ったり、お泊まりをしたり、それをするのに友達という存在は必要不可欠だ。それを話すと「俺いるじゃん。全部俺としたらいい」とジェヒョンは不貞腐れていたけれど、性別と年齢のこともあるしお泊まりは難しいんじゃないかな。最近親が、家にジェヒョンが来るのはいいけれど、部屋にはあげないでねってうるさくなってきたし。別にそういうのじゃないんだけれも、“男”と“女”というものは、私が思っているよりずっと厄介なものらしい。それに、正直私は女の子の友達が欲しかった。

『女の子だったらよかったのに』
「俺が？」
『そしたら面倒事も起きなかったし、ジェヒョンといても文句言われないもん。私が男だったらよかったって思ったこと無かったの？』
「無い、俺はAが女の子でよかったと思ってる」
『ふーん』

せめて一緒に帰ろう、というジェヒョンの願いを聞き入れ、周りの子たちよりも2本遅い電車に別々に乗り、家の最寄りから一緒に帰る。わずか15分のために電車を見送る何て馬鹿みたいだし、早く帰って家に来たほうが絶対いいのに、ジェヒョンはこの時間にとてもこだわった。

『あ、アイス』
「食うの？」
『うん。ありがとう』
「ふざけんな、この前も買ってやっただろ」

そんな事を言いながら私が1番好きなアイスをジェヒョンはいつも買ってくれて、たまにお返しに1つ20円という格安チョコをあげたら、えくぼを深くして「ありがとう」と嬉しそうに笑う。…その笑顔チョコより絶対高いよなあ。ジェヒョンくんってあんまり笑わないよね～、髪が明るくて、毎日ばっちり化粧をしてくるギャルがトイレで話していた内容が信じられなかったのは私はずっとこの顔を見てきたからだろう。

『……ギャルが』
「ギャル？目指してんの？やめてよ、Aはそのままでいて」
『や、ジェヒョンくんあんまり笑わないよねって』
「笑ったら金くれるなら笑うけど」
『あの子達ならくれるんじゃない？』

なんだよそれ、目を細めたジェヒョンはチョコを食べずにポケットにしまった。