▼ ページ4
「君はさぁ！まともに仕事出来ない訳！？このぐらいの仕事、こなせなきゃ君がいる意味無いんだよ！君を入れるぐらいなら、他の子を入れた方がマシだったかもね」
すみませんっ、仕事がもっと早く出来るように努力します。
ご迷惑を掛けてしまい、本当に申し訳御座いませんでした。
「同僚の人達は残業してないのに、君だけずっと残業してるじゃない。ま、君はそれだけが取り柄なんじゃない？仕事が無駄な時間を使って出来る、ぐらいしか」
すみません、残業代は言う通り、申請しません。私の効率の悪さで仕事が遅れているので、当然の判断だと思います。
これからは、残業代はいりません。
「辞めたいならさっさと辞めればいいじゃないか。君がやめれば、君が溜めていた仕事が皆に回っていくんだよね。せめて、それを片付けてから辞めなさい。まぁ、片付けられるなら僕はこんなにも君を叱る必要も無かったんだけどね」
本当に申し訳ございません…本当に、すみませんでした。
せめて、仕事を片付けてから…辞めさせてください。
耳を劈くようなタイプ音。時を刻む壁時計の音。
自分の呼吸音は聞こえないまま、パソコンの画面を食い入るように見ては、指を動かす。ぼぅとする頭の中で、受動的に流れていく情報を処理していく。
▷ねぇ、A。本当に大丈夫？最近、メッセージ全然返してくれないけれど…ね、たまには遊び行かない？昔みたいにパッーと遊ぼう？相談事あったら全然聞くからね！あんたは溜め込みやすいタイプなんだから、言いなさいね？
▷A、お仕事お疲れ様。たまにはお母さんと一緒にご飯食べましょう？
「ごめん…」
ベッドに倒れ込んだ私は溜め込んだメッセージを開くこと無く、スマホの画面を真っ暗に落とした。
気付けば、家のカレンダーは2か月前のもの。
机の上に置かれたのは大量の薬と栄養ドリンク。くたくたな身体でそれらを鞄に積み込み、お風呂に入って少しだけ寝たらすぐに陰鬱な朝は来る。
朝の通勤ラッシュから逃れるために、昨日残した仕事を片付ける為に始発に間に合うように駅へ向かう。
まだ太陽も出ていない駅で、電車を待っていた。
___あれ、私…何の為に生きてるんだっけ。
極端な思考が頭の中を埋め尽くす。
何かやりたいこと、したいことがあったはずなのに今は何一つ思い出せない。
「…！？駅員さん！女性が倒れてます！！」
「すみ…ません…ご迷惑、お掛けして…本当に……」
限界を超えたその時、呆気なく私は倒れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3388人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月30日 0時
