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恩返しがしたいという建前も本音。
ここに出来るだけいたいという本音。
2つの本音を抱えた私は、きなこさんに指定された勤務時間を偽ってカフェMASKで仕事をし続けていた。
時折、きなこさんに「休んでる？」と言われ、お風呂等身を清潔にするために帰っていたりはしていた。
だが、寝る度にあの夢を見るせいか寝不足で起きていた方がマシだと考えた私は誰もいないタイミングである午前2時から午前6時に仕入れや手書きメッセ等の手作業になる仕事、仕事が無くなれば警察のバイトをして時間を潰し、日中から夜中まで働いていた。
悔いのないように働きたい。
だから、今は出来るだけ仕事がしたい。それで、私を拾ってくれた恩返しが出来るなら、何時間だって働く。少しでもカフェMASKに貢献したい。
「…」
あんだけ好きだった甘いものも食欲が無ければ、喉に通らない。なるせさんと向かった店で買ったお菓子の賞味期限は前に見た時は余裕があったはずなのに、今見れば寸前まで迫っていた。
「あの、Aさん。これ、オーダー間違ってるかも」
「えっ、あ…すみません、きなこさん。すぐに作り直します」
「いいのいいの。Aさんがミスなんて珍しいね！ここに入った頃以来じゃない？」
「おわっと…大丈夫？手、怪我してない？」
「すみません！また、皿割ってしまって…あ、ありさかさん、自分でします！だから…」
「うぅん。全然いいのよ。うちで皿割れるのなんて日常茶飯事だし。Aさんが怪我をしてないならそれで良し。俺が片付けとくから、Aさんは洗い物してていいよ」
「…っよ、Aちゃん」
「…えっ？」
「お客さん来てるよっ。対応してあげて？」
「あ、すみません…！御注文は…」
働きたいという思いと反比例して、日々増えていくミスに酷い自己嫌悪が募る。カバーをしてくれているきなこさん達に対し申し訳なさが積み重なって、更に胸が苦しんだ。
これじゃ、本当に要らない
「Aさん、大丈夫…？最近、体調悪そうだし、少しでも休んだら？ここずっと、出てきてくれてるし。1回長く休み取ってもいいんだよ…？」
「大丈夫です。心配してくださってありがとうございます、きなこさん。配達の仕事、行ってきますね」
心配そうに声を掛けてくれるきなこさんに感謝しつつ、配達の仕事へ向かう。
カフェMASKから去れば、
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月30日 0時
