▽ ページ10
それから、Aと関わるようになり、沢山の事を知った。
意外と押しに弱く、その場の雰囲気に流されそうになること。
彼女の気遣いから生まれる優しさは皆へ平等に与えられていること。そして、皆がその優しさに気付いて好いていくこと。
セリーのド直球なアピールもローレンのガチ恋過ぎるアピールも、Aにとっては御客として受け取られていること。
人の気持ちには敏感な癖に、自分へ向けられる感情には疎いところ。それが、「私なんて」という自分を見下すような自己肯定力の低さから生まれていること。
だからこそなのだろう。自分がこんな厄介な奴に本気で恋されているなんて、夢にも思っていない。
「コンプリートなんて凄いですね。かなり種類があったのに…残っていたのが店員10種だったのも凄いですよね。どういう確率なんでしょうか」
きっと、この人は缶バッチが欲しがった理由はコンプリートの為と思っているのだろう。
不破ぺんに言われたなら、そう思っていても仕方が無いけれど…何故、もっと深く考えてはくれないのだろうか。
Aは最推しの中身を占めるローレンの気持ちなんて知りもしない。
ただ、天使の純粋に。ただ、女神の無垢に。
でも、それは蜂蜜の甘い毒のように身体を蝕む。
Aは何処までも客として、ローレンと向き合っているのだ。
「…？ローレンさん？」
どうしたら、貴方は俺を見てくれる？
客としてじゃない。ただの貴方に恋をする1人の男として。
もし、貴方の額にキスをすれば、貴方はこの想いに気付いてくれるのだろうか。…いや、気付いて欲しい。
店員の貴方も好きだ。でも、"貴方"はもっと好きだ。
愛している。言葉だけじゃ到底表現出来ないこの気持ちは貴方を考えて生まれてくるものだから。
「私なんて」って思わないで欲しい。
貴方だから、俺はこんなにも多くの受難と向き合いながら、貴方に恋しているのだから。
「俺ッ…俺は！！Aサンを当てたくて！引きました！まじで、Aサンだけが欲しくって！！だから引いたんです！！コンプリートの為じゃないです！！」
「……アッ、そ、そうでした！さ、最推しにして頂いていますもんね。そう言われると…少し恥ずかしい、ですね…！いや、勿論嬉しいんですけど！こうして、口に出して貰えたらその…なれ、なくて…」
____あぁ、でも。
俺はAサンのこういう所も好きなんだよな。
どうしようも無いくらいに、この人の全てが大好きだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1874人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (
レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです！ (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月9日 0時
