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渡した事で満足したAの手が引いていく。だが、そんな隙だらけの手をローレンが逃す事は無く、1歩前へ歩み寄り距離を狭めると彼女の両手を手に取った。
Aの肩がビクッと震える。片手でも収まるぐらいに小さくて可愛らしい手がほんのり温かくなった。
たったひとフレームの所作なのに、なんでこんなに愛おしい生物なのだろうか？
「大事にします！Aサンから貰ったこの缶バッチ！まじで、大事にします！」
「そっ、そう言って貰えるととても嬉しいです。是非、他の缶バッチと並べて飾ってください。ローレンさん、店員缶バッチ全10種コンプリートおめでとうございます」
ローレンの五感に伝わるのは鈴の音のように心地よくて落ち着く声のみだが、兎の被り物の下で微笑んでいるのが分かった。そして、いつも向けて欲しい極上の微笑みが自分にだけ向けられている。
『ローレンはさ、どうしてAさんの事好きなの？』
ふと、あの言葉をまた思い出した。
そうだ。俺はこの人の___________こういう所が好きだ。
彼女とのキッカケは恐らく、悩んでいた時に塩と砂糖を間違えたおむらいすを食べたあの日。それ迄は彼女の存在すら知らずに、銀行強盗をした際も自分の事で頭がいっぱいで存在すら認識してなかったかもしれない。
そして、後日カフェMASKへ来店した。砂糖と塩を間違えてないおむらいすが食べたくて。Aに大事な事に気付かせてくれた御礼を言いたくて。そんな思いだけを抱え、入店した…その筈だった。
「やーめーろ！ちょ、俺今日は何も悪いことしてないって！」
「いいぞ！きなこ！ナイスセクシー！！もっと見たい！」
「んん"っーセクシー！おぉーセクシー！」
「やめて！やーめーて！！」
VIP席へいつの間にか案内されていたローレンはきなこのセクシーサービスを強制的に受けて、そんなローレンの反応をげらげら笑うだるま達。店内が笑い声で震える程に騒いでいた。
そんな中、彼女は雰囲気を壊さないように空気へ混じるような気配の消し方をして、店員としての作法をしっかりした上で注文した品を届けてくれたのだ。
その後、洗い物をする為にキッチンへ戻っていくA。不思議と彼女の小さな背中を視線が追っていて。1度彼女は頭を回らすと華奢な肩を揺らしてくすくすと控えめに、でも楽しそうに笑っていたのだ。
兎の被り物をしていても、その
何となく、分かったのだ。彼女の笑顔はあまりにも可愛いと。
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (
レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです！ (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月9日 0時
