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ガチ恋ヲタクタイムが終わり、正気に戻ったローレンはすぐさま、Aの傍へ駆け寄り、隣に座る。場の空気を読んでか、らっだぁは静かに立ち上がり気配を消したまま、部屋から出ていく。

最推しとカフェ以外で2人きりの状況は滅多に無い。
こんな機会は滅多に無いので、存分に味わっておかねば。

今だけは、Aサンは俺しか見ないんだから。
みんなのAを独り占めできる。それがどれだけ嬉しい事なのか。身をもって知るローレンにとって、この時間は至福以外の言葉では言い表せない。


「どうされたんですかAサン!」
「あ、えぇと、不破さんとぺいんとさんから缶バッチのお話を聞きまして…」
「アッ……そのー、すみません。俺、当てられなくって…Aさん推しと宣言させてもらってるのに引けなくて」
「でも、元々無かったんですよね…?仕方ないと思いますしそんな謝らないでください…!あ、えぇと、そのおふたりから伺ったんですが、私の缶バッチで店員モチーフが全種揃われるんですよね?あの、良かったらこれ…どうぞ」


Aはストレージから数度操作を行うと虚空から、喉から手が出る程に欲しがった兎の被り物とおむらいすが描かれた缶バッチをローレンへ差し出した。


「え!?いい、んですか!?」
「全然いいですよ。これ実は販売前にきなこさんから貰ったさサンプル缶バッチでして。サンプル用ですが、販売された缶バッチと殆ど変わらないと思います。私は最後までイラストが変わらなかったので…あ、さっきまで使ってて新品ではないんですが…」
「欲しいっす。Aサンに使用されてた方がいいっす」
「そ、その発言は…大丈夫、ですか?」


小さな手から大きな手へ渡された缶バッチ。
今のこの瞬間から、缶バッチはローレンの所有物となった。

喉から手が出るほどに欲しがった缶バッチが手に入った。
それだけでも嬉しい。この上ない幸せなのに。Aからもらったものという付加価値が付いた事で、ローレンにとって缶バッチの価値は金で替えられないものになった。

Aの口振りからして不破ぺんに「ローレンがAさんモチーフの缶バッチあと1種でコンプリートできる」と言われたのだろう。

ローレンのAに対する気持ちは明白で本人に最推し宣言もしている。それでも、遠回しにAへ言ってくれたのは2人からの配慮だろう。
欲しがる理由なんて、1つの感情が源で無ければ生まれることは無いのだから。

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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです! (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こりん | 作成日時:2024年3月9日 0時

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