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気分は最低更新中のどん底街道まっしぐら。水も食べ物も通らず、馬鹿みたいに煙草を吸いまくった。
10億円の豪邸内に構えるローレンの自室には、A祭壇という推しの祭壇がある。今まで撮ってきたチェキや手書きメッセージカード等がゆぐどらしるの長女担当きゅぴ指導の元で可愛らしく、オシャレに飾られていた。


「ローレンさん、大丈夫…?」
「うぉうぉ、今はそっとしてあげよ?」


自室の扉前で聴こえた会話。恐らく、声からしてあかりとといだろう。魂が抜けたような顔をして帰ってきたので、心配してくれている様子。
事の状況を分からないまま、察してくれたといによってあかりが回収されていき、扉前に人気が無くなった。


「……はぁ〜…」


重い溜息が部屋に溶けて混じり、周囲の空気がまた重くなる。缶バッチひとつ当てられなくてこんなに凹む程、自分はAを最推しとして推して、1人の女性として愛していると自覚できたのだが。

……欲しかった。とんでもなく、欲しかった。
元々、指名表にも載っていないので個人をイメージした料理は"おむらいす"と"ラテアート"しかない。そして、種類はランダムとなる手作りお菓子しか、Aという推しを摂取出来ない。
いや、ひと目見るだけで本来はいいのだ。顔は見えずとも、彼女を感じられたら、幸せは頂点へ向かっていく。
けれど、人間はないものねだりで。次を強請る欲深さ、その傲慢さに囚われた人間の性にまた溜息が出てくる。


『ローレンは、どうしてAさんを好きになったの?』


ふと、らっだぁの言葉が脳裏に過ぎる。
あの時、酒に酔ってなんて答えたか覚えてない。
強いて言えば、全部であるが…切り抜けば、何処なのだろうかと思案していると扉越しに声がかかる。


「ローレン。らっだぁがアジトにおいでだって」
「しす、精神終わってるからごめんけど今は無理って言っといて」
「分かった。らっだぁがいうにはAさんがアジトでローレン待ってるみたいだけど…ま、そう伝えておくね…って、なに!?うぉ!?」


この世で、Aという名前に1番敏感なのは自分なのではないかと豪語出来る程の反応速度だった。
しすこが驚愕し呆れる程の速度で部屋を出たローレンは虹を作る噴水の美しさには目もくれず、アジトへ向かう為にガレージからバイクを取り出した。


「ん?何の音、今の。誰かC4投げた?」
「あ、ぐちつぼさん。今のはローレンが最推しに会いにいく音」
「…………………………は?」

▽→←▽



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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです! (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こりん | 作成日時:2024年3月9日 0時

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