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「いける!いけるって!ローレンならいける!引けるよ!」
「ローレンさん大丈夫だって!自分を信じて!Aさんの事大好きだから!絶対に引けるよ!」
「ぐっ…」
Aを除いた店員モチーフの缶バッチ9種がカウンターに並べられた。
推しだけが抜けない大凶ヲタクあるあるの場面に直撃したローレンは頭を抱え、その後ろではそんなローレンを励ます応援団の不破とぺいんとがいた。
ありさかは少し気まずそうにローレンの開封結果を見ており、ローレンにとっては悲しい結果に「ごめん」という言葉を洩らす。
「で、でも、ローレン。店員さんの缶バッチはコンプできそうじゃん!?その、ほら!交換とかして貰えれば…」
「いや…当たった奴全員Aサン推しなんすよ。わんちゃん、だるまが交換してくれそうな気もするけど、Aサンがいる目の前で当てた缶バッチを他人に譲るか…?だるま、そういう配慮はしてそうなんで、望みは薄いというか」
「うぅん…なら、やっぱこの1個にかけるしかないよ!」
心にAサン、そして不破ぺんコンビを住まわせておけば、毎日生きていけるような気がしてくるような励ましと応援に胸を打たれつつ、未開封缶バッチを手に取る。
テープを剥き、缶バッチを挟む厚紙ごと取り出す。当たり券は無い。次に、挟まれていた缶バッチのイラストを確認する。
お願い、兎の被り物とおむらいすで合ってくれ。
「あ、シークレットじゃん」
「え!?シークレット!?」
「すごいじゃん、ローレン!」
「シークレット枠の1つ、実写きなこさんのセクシーショットバージョンだ。すげ、シークレットまだ残ってたんだ」
サンプル品の缶バッチは可愛らしいイラストで全種公開されており、シークレットのみが絵柄を隠されていた。
故に、シークレットの内容は当てた人のみが知る情報だったのだが…2枠ある内のひとつが、"実写きなこのセクシーショット(健全)"が手に入った。
普通なら、シークレット枠が抜ける事自体は嬉しいだろう。
だが、今のローレンにとって…この上ない絶望の波が押し寄せてきた。
「やばい、ローレンが息してない!」
「うっ…うう…!」
「なら、きなこさんが店番の時に誰か1個を引いてたのか…いや、ごめん。ローレン…俺、知らなくて…」
「いや…ありさかは悪くないよ…この缶バッチの情報を引き抜けなかった俺が悪い…」
「うん、カフェMASKの情報を引き抜こうとするのはやめてね?」
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです! (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こりん | 作成日時:2024年3月9日 0時