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「歩き方、どうした？」
「わ、忘れました」
「……は？」
困惑するもんどさんから放たれた「は？」と言う言葉がずさっと心に重く刺さる。
もんどさんに抱き寄せられ、どきどきと緊張が止まらず、間接部分の油が足りないロボットのようなぎこちない歩き方になる。
そんな私を見て、どうにか自然に歩かせようと更に抱き寄せて、歩行の介護をするもんどさん。距離が近くなり更に歩き方が変になってしまう私という謎の構図が出来上がっていた。
「…まだ、いる」
もんどさんは時折、瞳孔を端に寄せて背後の様子を伺う。
背後にいる何かに対しての警戒が凄まじく、愛犬と愛猫を見て優しい微笑みを浮かべていた彼と同一視出来ない。
警察としてのもんどさんを見た事が無かったので新鮮であり、状況も相まってかドキドキしてしまう。
心臓の替えは無いのに、困ったものだ。
「…ど、どうされたんですか？」
「薬の売人か人攫いが後ろにいる。多分、Aがターゲットにされて、ずっと後付けられてる」
「おぉう…」
「どこ向かってる？」
「この先にある業務スーパーです」
「おっけ。そこに行こう」
巻き込まれたくないと願った矢先に犯罪に巻き込まれそうになっていた事実に頭が痛くなりそうだ。流石、ロスサントスである。
夜道を歩く人々を安心させる白い光を放つ業務用スーパーの看板。見えた瞬間に安堵し、そのまま駆け込むともんどさんはパッと離れて、無線機の向こう側にいる仲間へ手短に何かを告げた。
「ありがとうございます、もんどさん。助けて頂いて」
「いいよ。市民守るの、警察の役目だし。追ってた奴は警察の仲間が対処してくれるから、もう大丈夫。怖くない」
安心させるようにぽんぽんと被り物の表面を撫でるもんどさん。子供をあやすような柔らかく、優しい声音で諭してくれたお陰がいつの間にか心を埋めていた恐怖が薄まり、平常心が正気を取り戻した。
流石、警察署長。守り方もメンタルケアの仕方も上手い。
「緊急事態だったとはいえ、急に抱き着いてごめん」
「い、いえ。お気になさらず！むしろ、嬉しいというか…あ、いや、此方が申し訳なくて謝罪というか…抱き着かせて申し訳ないと言いますか…」
「…成程、セリーも大変だ」
今の会話の流れで何故、セリーさんが出てきたのだろうか。
経由点が分からず、首を傾げていると同情するようにもんどさんは「それでいて。面白いから」と悪そうに笑った。
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (
レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです！ (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月9日 0時
