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あれから、もんどさんはこまめに予約を入れて注文をするようになった。
3Dラテアートだけではなく、前はおむらいすのケチャップアートで挑戦したのだが、此方はケチャップがいきなり爆裂したり、思った以上にケチャップが出たり出なかったりして、調整が中々難しく惨敗。食卓も赤に染って、グ ロテスクになってしまい、もんどさんは何も言わなかったがあれから注文は無くなった。
「今日は21時か…」
いつも、予約のタイミングを考えてくれているのか、繁忙になる時間帯より少し後に予約・来店してくれるので、此方としても非常に助かっている。
本日の予約は21時。先程まで少し忙しかったが、21時になれば客足はピタッと止まる。止まってくれたのでゆっくり準備出来そうだったのだが…冷蔵庫を見れば、少し食材が心許ない。
先程、メニューの回転率が異様に早かったのも関係あるだろう。多めに食材の在庫を持っていたのだが…これは買い出しに行った方がいい。
「ありさかさん、買い出しに行ってきます」
「夜だし俺が行こうか?」
「いえ、大丈夫です。ありさかさんも仕事があると思いますし、行ってきます」
「おっけぇ。行ってらっしゃい。変な奴がいたら、すぐ逃げるんだよ。知らない人にはついて行かない、のらない、大声で叫ぶ、すぐ逃げて俺らや警察に知らせてね」
「は、はい…」
…なんか、最近ありさかさんに小さい子供って思われているような気がするんだけれども…気の所為かな?
小学生以来、「いかのおすし」の合言葉を聞いた気がする。
裏口から出て、付近にある業務用スーパーマーケットへ急いで向かう。
まだ夜の浅い時間帯。けれど、けたたましいサイレンや空気を震わす爆発音が夜の帳が下ろされたロスサントスに響き渡っており、治安の悪さだけは不変の街である。
ロスサントスの本番はここからだろう。今日も巻き込まれないようにお祈りをしながら、足早に目的地へ向かう。
「…ひっ!?」
「しっ。このまま普通に歩いて」
背後からいきなり肩を掴まれて、反射的に逃れようとするも強く抱き寄せられた事で不可となる。慌てて抱き寄せた人物を見れば、警察の制服に身を包んだもんどさんがいた。
何故急に抱き着かれたのか、困惑しながらも言われた通りに普通に歩く。
「…変な歩き方しないで。後ろの奴に怪しまれる」
「す、すみませんっ…!」
もんどさんに肩を抱き寄せられながら、一緒に歩くシチュエーションなんて、平然といられる方が可笑しいと思うの。
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです! (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こりん | 作成日時:2024年3月9日 0時