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「何してる？」
「わっ！？」
音もなく、幽霊のような気配の消し方をして近付いていたもんどさんが背後から現れる。
心臓が存分に跳ね、驚きの声が絞り出された。けれど、もんどさんは私が作った3Dラテアートの猫さんに視線が向いており、情けないリアクションを取っていた所は見られていないらしい。
「もしかして、ルリとアラ…？作ってくれたの？」
「か、勝手にすみません…！その、ちょっとでも、傍にいれるようなことが…出来たらと…思いまして…ほんと、すみません…」
「うぅん。嬉しい。ありがと…でも、その、…なんか違う。もうちょっと、目を近付けたらアラになるしルリの目はこう、キリッとしてる。意外と凛々しい」
「成程、目を…ん？アラちゃんとルリちゃんってお名前なんですね。素敵なお名前です」
もんどさんに言われた所を修正し、微調整を重ねる。
すると、だいぶ造形が寄ってきて、言われたら見えなくもないような出来栄えになった。
流石、ご主人が現場監督になると完成度は飛躍的に上がるものである。
「お、お代は大丈夫ですから…！」
「駄目。受け取って」
出来上がったラテアートは、私が個人的に作ったものだったのでお代は要らないと何度もお断りしたのだが、痺れを切らしたもんどさんに「受け取らなきゃ公務執行妨害切る」と職権濫用されてしまい、受け取る事になった。
もんどさんは出来たラテアートを大変気に入ってくれた様子で写真を何枚も撮っている。撮り終え、飲む工程に移れば顔にはあまり出ていないが凄く惜しそうに、躊躇いながら口を付ける瞬間を見てしまった。
声音や表情では変化は感じられないのに、何となく雰囲気で分かってしまうのはもんどさんが朝の常連客だからなのだろうか。
この少しの時間だけでも、何となく…もんどさんがどういう人なのか、ほんのちょっとだけ分かった気がする。
…もんどさん、やっぱり可愛い人かもしれない。
そして、愛犬家であり愛猫家ということがよく分かった。
「ご馳走様でした。…その、また、これ作って欲しい。お金なら沢山払うから。予約の電話、またする」
「お電話待ってます。是非、作らせてくださいね。…またの御来店をお待ちしております。お仕事、頑張ってください。でも、お身体にはどうか気を付けて」
「ありがとう」
見送るもんどさんはいつものクールな表情のままだったが何処か柔らかい雰囲気になっていた。
少しでも、もんどさんの疲れが取れてたらいいのだが…。
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (
レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです！ (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年3月9日 0時
