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「何したの?」
「監視カメラで見てた癖に」
「…こっちが小っ恥ずかしい程だったわ畜生」
兎の被り物を装着したものの、思考が上手く纏まらず呆然とするAの手を取って腰を抱き、ゆぐどらしるアジト裏駐車場へ案内する。すると扉前には、ローレンが不祥事を起こさないように見守っていたらっだぁや「やるねー」とやたら賞賛してくるきゅぴ、黒炭酸が待っていた。
内心、危ねぇと心がざわつく。恐らく彼処でAを襲っていたら、後ろから銃弾が飛んできたかもしれない。彼らは基本的にローレンの味方だが、やる事が誰かを傷つけるものなら即座に止めに入る。人間としての人格部分がしっかりしているので襲っていたら、ボス直々にAへ接近禁止命令も出ていたかもしれない。
「俺、このままAサンをカフェまで送り届けてくるわ」
「変な所に連れ込むなよ」
「ボス、妄想がじじいなのやめてくれ」
「は?まだぴちぴちのお兄さんだわ」
「いやボスは…いや、そんなことより。流石にウチもやばいと思うからやめてね〜。その時は侮蔑の目で見るかも」
「きゅぴさんまでやめてよ」
「今、俺の事軽くディスってなかった?」
「……あっ。いえ、ガレージから社用バイクを呼び出しますので大丈夫です。で、では、これで。ゆぐどらしるの皆さん、お邪魔しました。カフェでの御来店をお待ちしております」
やっと、会話が耳に入ったAは慌てたようにローレンから離れようと身を捩り、ガレージらしき場所へ足先を向ける。けれど、力でローレンに勝てる可能性なんてなく、ビクともしないローレンの手の中に自身の肉が深く入り込むだけだった。
「力強ッ…ローレンさん、私より細身なのにどうして…何処にそんな力を」
「…うーん。Aさんは無自覚に人を煽るね」
「あれ、今私ディスられました…?」
「うん。ウチも今のはAさんが悪いなって」
「えっ」
らっだぁときゅぴ、そして何も言わないが無言で頷く黒炭酸はローレンに深く同情していた。
らっだぁや黒炭酸よりか、肉付きは薄く細身なのは自覚しているが…最低でもAよりかは細身では無い。一回り身体は大きく、腕だって見比べればローレンの方が太く逞しい。
何より今の一言は___________ローレンの男としてのプライドをへし折る容赦ない一撃と言っても過言では無かった。
「す、すみません…!で、でも、ローレンさんって腰とかかなり細いですし!!」
「Aさん、追撃やめてあげて」
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堅香子(プロフ) - 文才とてぇてぇが溢れてていっぱいすき (5月3日 19時) (レス) @page22 id: 3ee8fa3e36 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 表現が丁寧で想像もしやすくてドキドキしながら読みました。更新楽しみにしています。 (3月21日 17時) (レス) @page15 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - 本編も大好きです。番外編も本編とはまたちがった面白さが見られそうで、これから誰が登場するのか、どのような物語を紡いでいくのかとても楽しみです! (3月9日 0時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こりん | 作成日時:2024年3月9日 0時