Lv4.5 凍蝶になってしまった君は ページ34
「ふふ、それで散々な目にあったって訳ですか？」
「いや、逆にボコしてやったね！」
「流石、だるまさんですね」
「あ、やめてっ…つっきー、素直過ぎぃ…」
メカニック勢が集うガレージにて、依頼である高級車を弄る月島とバイクを弄るだるまは他愛も無い会話を広げていた。
他のメカニック勢は簡易トイレやソファ車などの強化に励んでおり、げらげらと自我溢れる笑い声をオイルの臭いで充ちた空間へ響かせた。
「にしても、へしこが警察のヘリが来てることや俺がいる事を黙ってたのが吃驚だったんよなぁ。あれ、報告されてたら結構やばかったのに…なんで、報告されなかったんやろ？」
「立場が違えど、へしこさんはだるまさんの味方ですから」
「…？そうなの？」
「はい。そうですよ」
首を傾げるだるまに対し、月島はさも当然の事かのように事実を告げる。高級車の改造を無事終えた月島は近くにあった缶ジュースで喉を潤そうとするも、既に中身は空。
新しく買いに行くかと足先をガレージ外へ向けようとすれば、同じくだるまが後ろへ着いてきた。出た瞬間に、名前を呼ばれ振り向けば月島の手の中に缶ジュースが放り込まれる。
「ほれ、つっきー」
「わ、ありがとうございます」
「ちょっと休憩しようぜ」
ガレージ外は駐車場となっている。ガレージ内は爆発音が響き、建物が揺れる程に騒がしいが外は人は少なく、車もほぼ無い。心を落ち着かせ、休憩するにはぴったりな空間だった。
「俺さー…なんか、気になるんだよね。葛葉の事が」
「えっ？葛葉さんですか？」
「うん。あ、恋したとかじゃないよ？なんかー…今の葛葉、何かからずっと…逃げてるような感じがあってさ。葛葉らしくないと言うか……ん？つっきー、どしたの？」
するんとアルミ缶が手の中で滑り、白線がひかれた凸凹の地面に中身がぶちまけられ、染み込んでいく。
月島本人は、だるまに名を呼ばれるまで自分が缶ジュースを落とした事に気付いていないようで。驚愕と言わんばかりに目を見開き、ズボンの裾に染み、冷えた感触を無視していた。
「つっきー！？大丈夫！？ズボン濡れてるけど！！」
「えっ、あ…大丈夫です。すみません、だるまさんはかかってませんか？」
「俺は大丈夫だけど！どうした？具合悪い？」
「全然大丈夫です。すみません、貰ったのに落としてしまって」
「いや、缶ジュースは幾らでもあるからいいよ。それより、着替えないと」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2691人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢打刻 - 🐹さんが出てくる話少ないので嬉しいです…！！ (3月24日 9時) (
レス) id: 15c763c3c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 今日初めて見て追いついてしまいました。kzhがめちゃくちゃかっこよくてどうなるのか幸せになってほしいと願いながらまた楽しみにしてます。 (3月21日 22時) (レス) @page41 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - もう最高です更新毎回楽しみにしております…！！kzhがちょこちょこ出てくるものの詳細が出てないの気になりすぎて夜しか眠れません…大好きです…更新疲れるかもしれませんが…頑張ってくださいずっと応援しております！！！！ (3月9日 23時) (レス) @page29 id: c35a40f298 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すてきなお話で、いつも更新を楽しみにしています。ちょこちょこ登場しているkzhが気になります！これからもだれか参戦するのかな？どんなお話になるのかなと楽しみにしています。 (3月9日 1時) (レス) @page29 id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 実はもんど署長の参戦、もしくは絡み期待しちゃってるのですがご予定ありますか...？いつも楽しく読ませていただいてます！ (3月9日 0時) (レス) id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こりん
| 作成日時：2024年2月18日 17時
