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「よし、いってこーい!」
「いってきあ"ぁぁ…ぁ…ぁ」


だるまさんの元気な掛け声と共にひなのさんが扉から身を投げ出した。段々と離れていく叫び声にだはッはッ!という爽快で気持ち良い笑い声を飛ばすだるまさん。


「今ら辺で赤い紐引いて。…おっけ、そのままゆっくり降下していってね〜…。おっし、次は俺らだ」
「は、はいっ!宜しくお願いします!」
「あははは!声震え過ぎッ!初パラシュート、楽しんでいってこぉ!!」


次は私達の番である。兎の被り物は飛んでロストする可能性があると言われ今だけは取っており、代わりに顔にはゴーグルが装着されていた。

それでも、風圧で頬肉が押され、僅かに出た髪は暴れに暴れ散らかしている。下を見れば、地上の景色は全体的にぼやけている。それ程までに高所に居ることに怖気付き足がすくんで、後ろに下がりそうになるもバニラさんが背にぴったりとくっついているので逃げられない。


「大丈夫?気分悪くなったなら、やめるけど…」
「い、いけます!」
「…おっけ!じゃあ、行こう!」


足裏を力強く蹴り上げ、身が宙へ投げ込まれた。
途端、見えない手に下へ下へと引き摺り込まれてくような不気味な感覚と強烈な浮遊感、身体では到底受け止めきれない風圧に晒されて、口から絞り出されたのは絶叫である。
けれど、バニラさんが私の絶叫に高笑いしながらも後ろからしっかり支えてくれるお陰か、身体が思った以上に揺れず安定した態勢で落ちていく。


「わぁ…」


ゴーグル越しで俯瞰するロスサントスの景色。
地上と空中の境界線にいる私はタワー最上階でも見れないような絶景に一瞬で奪われる。

一定時間落下するとバニラさんが赤紐を引き、リュックからパラシュートが出てくる。ガクンと視界が上下すると落下スピードは緩やかとなった。
殴ってくる風も程よく無くなり、落ち着いて呼吸も出来るようになるとくすくすと真後ろでバニラさんが笑っている事に気付く。


「あ、ごめんね。つい、面白くって…Aさんがこんな大きくリアクション取るところ見たこと無かったから」
「す、すみません。大声出してしまって…」
「いいのいいの。Aさん、度胸あるんだね。パラシュート降下って結構度胸いるもんだから誘っても遠回しにパスられたりするからさ。びっくりしちゃったよ」
「さっき、新しい事の話してたので…パラシュートってやる機会なんて早々無いですから、ついノリで…」
「んふふっ、いいね。Aさんは凄いや」

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humanfuuka1225(プロフ) - この作品を読むのが日々の日課になりつつあります…!更新楽しみにしてます!! (2月18日 15時) (レス) @page50 id: 535d582f25 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 今まで生きてきた中で1番好きです…!!更新を心待ちにしております…! (2月18日 14時) (レス) id: c35a40f298 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 更新楽しみにしております〜! (2月18日 14時) (レス) @page50 id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - 夢主が優しすぎてもうこっちまで癒やされます。凄いです。この作品を読むと語彙力が飛ぶ仕組みなんですね。もう、マジで、本当に凄いです。癒やされるどころじゃない、涙出るかと思いました。優しすぎて。 (2月9日 9時) (レス) @page32 id: a8f548a317 (このIDを非表示/違反報告)
t94ywrc84k(プロフ) - もう最近この作品が生き甲斐すぎる。更新ありがとうございます (2月8日 23時) (レス) @page32 id: 24b98aaa97 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こりん | 作成日時:2024年1月27日 0時

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