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後処理はその場にいたささやうるか達に任せ、仮面の男は付近でも静かな場所に自分の服を敷いて、Aを寝かせる。
タブ画面からペットボトルに入った水を選択し、顕現させると頬を火照らせたまま、辛そうに呼吸を激しく繰り返すAの口許へ運ぶ。
ごくごくと喉を鳴らして、水を飲む。胃の中でアルコールが薄まるがそれでも辛そうに額に汗を浮かばせていた。
「しゃーねぇ」
自身のタブ画面を表示させ、医療キットの中から知り合いから購入した解毒薬と注射器を顕現させた。
カウンターの男に無理やり喋らせて、どんな毒が盛られたのかは分かっている。所持していた解毒薬で処置は可能だ。
アルコールで濡らした綿糸を皮膚に当て、消毒するとそのまま迷わず注射針を皮膚へ突き刺し中身を入れ込む。
即効薬だったのか、数十秒後には呼吸の激しさは引いていく。軈て一定となり額の汗は冷えていった。
「ったく、なんでこんなとこいんだよ…」
飲酒による脱水症状にならないように、こまめに水を飲ませながら汗を拭き取る。額に張り付く髪が鬱陶しそうだったので撫でてどけてやれば、ひんやりとした冷たい手が火照った頬に対して、気持ち良いのか少し表情が緩んだような気がした。
「おかあ…さ…ん…？」
「良い子は寝てな」
「……おとう、さん？」
「ちげぇよ」
子供のように、切なげな声音で両親を呼ぶ。
期待に応えられない事は知っているのでばっさりと返していると、彼女の口から恐らく友人の名が告げられた。
その声は、久しく会っていなかった友人に会えた、そんな嬉しさで満ちており、一気に否定がしづらくなってしまう。
「…はぁ」
小さく溜息を吐き出す。次に瞬きをすれば、先程の角張った骨から華奢で小さな手に変わった。小さな爪に塗られた紅いネイルがきらりと輝き、銀色の髪が風に靡いてサラサラと尾を引く。
これで満足かと、月夜に照らされた傾国の美女。
其の姿を意識が朧気な彼女は長らく会えていない友人と重ねているのだろうか。
「コスプレ始めた？ふふ、すごーく可愛い」
流石に容姿が違い過ぎたのだろう。
懐疑的な瞳で見つめてくる。だがそれでも大事な人に会えた事には変わりがないのか、彼女は花のような笑みを浮かべて眠りにつく。その手は何処にも行かないように、コートの裾を掴んでいた。
「…次は、他の奴にやれよ」
彼女の指先からコートを逃がした彼は眠りから覚めないよう、丁寧に姫抱きしてとある場所へと足先を向けた。
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humanfuuka1225(プロフ) - この作品を読むのが日々の日課になりつつあります…！更新楽しみにしてます！！ (2月18日 15時) (
レス) @page50 id: 535d582f25 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 今まで生きてきた中で1番好きです…!!更新を心待ちにしております…！ (2月18日 14時) (レス) id: c35a40f298 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 更新楽しみにしております〜！ (2月18日 14時) (レス) @page50 id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - 夢主が優しすぎてもうこっちまで癒やされます。凄いです。この作品を読むと語彙力が飛ぶ仕組みなんですね。もう、マジで、本当に凄いです。癒やされるどころじゃない、涙出るかと思いました。優しすぎて。 (2月9日 9時) (レス) @page32 id: a8f548a317 (このIDを非表示/違反報告)
t94ywrc84k(プロフ) - もう最近この作品が生き甲斐すぎる。更新ありがとうございます (2月8日 23時) (レス) @page32 id: 24b98aaa97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年1月27日 0時
