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表看板にはバーと書いていたので、お洒落な音楽が掛かった静寂な空間をイメージしていた。実際入ってみれば、中はクラブのように激しい音楽と服がはだけている男女が踊りあっている。5色のライトと人工の月のように部屋の中心で回るミラーボールの光が目に入って眩しい。
蔓延る酒臭さと陰気さを人の熱だけで吹き飛ばす雰囲気に気圧され、外に出ようとすれば後ろから来た若い女性グループと仮面を付けた2人組の男性らが入店。流れるように店内へ入ってしまう。
場違いだとすぐ分かる。けれど、バーのカウンターで美味しそうに酒を煽る男性を見て、吸い寄せられるように席に着いてしまった。
カウンターにいた男性はAを見るなり、物珍しそうな顔をになる。反応は明らかに場違いな奴が入ってきたですぐに帰ろうかと椅子から降りようとすれば、呼び止められた。
「お客さん、見ない顔だね。ここは初めて？」
「はい…」
「そうかい。せっかく来たなら飲んでいきなよ。何飲む？」
「えっと…おすすめとか、ありますか？」
「じゃあ、若い女の子に人気なお酒でいいかな？」
男性はそういうと、お酒を作り始める。カウンター席にいるのは自分だけであり、気遣って男性は会話を広げようと声を掛けてきた。
「お客さん本当に見ない顔だ。もしかして、最近越してきたのかい？」
「はい。まだ、割と…」
「そうかい」
クラブで踊る若者達を物珍しげに見ながら、会話を返す。
からんと氷が硝子に当たる音で慌てて、カウンターの方へ視線を戻した。
差し出されていたのは、コリンズグラスに注がれたオレンジ色のお酒。匂いも柑橘系であり、酸っぱい匂いとアルコールの臭いが鼻腔を刺激する。
臭いだけで判別出来る程飲むにしては、度数が高そうな酒である。否、入った時点で相当酒の臭いがしたので、他の酒の臭いも混じっているのだろう。
「大丈夫だよ、お客さん。それ、匂いが強いだけでアルコール度数は低めだよ。酔わないから女性に人気なんだ。ほら、あそこに居る女性グループも皆、飲んでる」
指さした先には、自分と同じ歳ぐらいの女子グループが楽しそうに身体をくねらせて踊りながら同じお酒を飲んでいる。彼女達を見るなり安心感が芽生え、乾きを満たす為に飲む…美味しい。
オレンジの甘酸っぱさとほんの少しのアルコールが口の中で広がる。酒の強さは普通であるが、これならオレンジジュースともいえなくも無い。
「もう一杯、いいですか？」
「喜んで、お客様」
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humanfuuka1225(プロフ) - この作品を読むのが日々の日課になりつつあります…！更新楽しみにしてます！！ (2月18日 15時) (
レス) @page50 id: 535d582f25 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 今まで生きてきた中で1番好きです…!!更新を心待ちにしております…！ (2月18日 14時) (レス) id: c35a40f298 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 更新楽しみにしております〜！ (2月18日 14時) (レス) @page50 id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - 夢主が優しすぎてもうこっちまで癒やされます。凄いです。この作品を読むと語彙力が飛ぶ仕組みなんですね。もう、マジで、本当に凄いです。癒やされるどころじゃない、涙出るかと思いました。優しすぎて。 (2月9日 9時) (レス) @page32 id: a8f548a317 (このIDを非表示/違反報告)
t94ywrc84k(プロフ) - もう最近この作品が生き甲斐すぎる。更新ありがとうございます (2月8日 23時) (レス) @page32 id: 24b98aaa97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年1月27日 0時
