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数日もすれば、足首の捻挫の痛みは綺麗さっぱりと消えており、救急隊の方へ行く事に遠慮していた私を引っ張ってくれたバニラさん達には感謝しか無い。
久しぶりの軽い足取りで仕事帰りに寄ったのはショッピングセンター。
平日の夕方という事もあり、ひと通りが多い中でエスカレーターに乗り、2階を目指す。お目当ての2階に着くとすぐ目の前にある本屋に入り、料理系の本が置いてあるコーナーへと赴いた。
「えっと…」
検索して1番評価が高かったラテアート入門編の表紙をスマホ画面に写しながら、背表紙を大量に納められていた本棚から参照していく。
数分もすれば、ラテアート入門編の本は1番上の棚にある事に気付く。だが、ここでひとつの問題が生じていた。
「…無理かぁ」
背伸びをして、肘を伸ばすも震えた指先では背表紙を撫でる事しか出来ない。
…そう、1番上の棚が高すぎて届かない問題が発生してしまった。
どうしようかと周囲を見渡せば、同じような問題にあった人が多くいたのかご丁寧に『商品が取れない場合は脚立をお使い下さい』と貼り紙で表示されていた。だが、問題の脚立は使われてそのままなのか周辺に見当たらない。
「ん"ッー…！」
その後も少し粘ってみるも、触れた背表紙は棚から出る所か奥へ逃げていくばかり。諦めて、店員を呼ぼうとつりそうなふくらはぎを労りながら背伸びを止めた瞬間、真後ろから伸びた影に全身が包まれた。
音と気配の両方がなく、幽霊の如く現れた背後の人物にビクッと肩を揺らす。変に粘ったせいか、邪魔していたのかなと小さく謝りながら、横にズレると背後の人物が手に持った本が『ラテアート入門編』である事に気付いた。
「はい、どうぞ」
「えっ？」
「あれ、この本が欲しかったんじゃないの？話違うんだけども…」
女性らしい線の細い輪郭に大きく見開かれた双眸。
嵌め込まれた飴細工の造形に似た月草色の目に見つめられれば、思考を強制的に射止められた。先が緩くカールした赤い毛束がふわりと揺れ、首を傾げる姿は内から溢れる愛らしさに満ちている。
なんだこの美少女…いや、美青年？…えっ、喉仏ある。
「大丈夫そう？」
「アッ、はいっ。大丈夫です。取って頂きありがとうございます」
「どういたしまして。じゃ」
「話違うんだけど」
「いーじゃん、人助け。アジト戻ろうぜ」
「もう…」
淡白な返しで身を翻す。数歩先を歩けば、本棚の裏に誰かいるらしく、その人物と数度話すと再び歩き出して、姿を消した。
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humanfuuka1225(プロフ) - この作品を読むのが日々の日課になりつつあります…！更新楽しみにしてます！！ (2月18日 15時) (
レス) @page50 id: 535d582f25 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 今まで生きてきた中で1番好きです…!!更新を心待ちにしております…！ (2月18日 14時) (レス) id: c35a40f298 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 更新楽しみにしております〜！ (2月18日 14時) (レス) @page50 id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - 夢主が優しすぎてもうこっちまで癒やされます。凄いです。この作品を読むと語彙力が飛ぶ仕組みなんですね。もう、マジで、本当に凄いです。癒やされるどころじゃない、涙出るかと思いました。優しすぎて。 (2月9日 9時) (レス) @page32 id: a8f548a317 (このIDを非表示/違反報告)
t94ywrc84k(プロフ) - もう最近この作品が生き甲斐すぎる。更新ありがとうございます (2月8日 23時) (レス) @page32 id: 24b98aaa97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2024年1月27日 0時
