第壱話 ページ2
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____________ほーほけきょっ
『ん、もう朝か』
うぐいすの声で起床。これが桜坂Aのルーティーン。
「A、起きた??」
『まだ寝てます』
「起きてるでしょ、はやく準備してよね」
は〜いすぐに、とぺたぺた歩くA。
起こしに来た少年、名を時透無一郎。霞柱である。一言で言おう強い。
柱である彼には大きな屋敷が与えられ、Aはそこに居候させてもらっているのだ。ありがたい
しかし、いつもマイペースでぼーっとしている無一郎がAの前ではママへと変化するのだ。いやぁ感慨深い。
まあもっと怖いのが、人の名前も忘れてしまう彼がAのことになると狂ってしまうのである。
Aが傷つくと怒り狂い、
Aが喜ぶと愛情たっぷりの眼差しで見つめ、
はたまたAが知らない野郎と話している時には、今にもそいつを殺したくなる衝動で埋め尽くされる。
このくらいは可愛いものである。
「今日は別の任務だから、帰って来たら寝てていいからね」
『はーい、分かりました』
朝食(というかもう昼飯の時刻だが)を食べながら談笑する2人。
今日は2人とも任務は夕刻から。最初に近辺調査を行い、鬼の発生が活発になる深夜の時間帯に思いっきり動く予定だ。
帰りは2人とも朝方だと考えられるが、柱の無一郎の方が任務の量は多いので、帰るのは遅くなる。
そんなことを話していると、ふと無一郎はいつも鈍感なAをどうしてもからかいたくなったのだ。
「まあ一緒に食べたかったら、待っててくれてもいいけど」
『む、じゃあ待ってますね。一緒に食べたいから』
「〜ッ!?……ほんとそういうとこあるよね、Aは」
『??』
ニヤリと笑いながらAに問いかける無一郎。
だがしかしそれはすぐに返り討ちになり、結果的に無一郎が顔をほのかに赤く染めぷいっと横をむく羽目になってしまった。無自覚天然が一番タチ悪い。
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作者名:ヘびとかげ | 作成日時:2022年12月31日 18時