白鳥沢にマネージャーできたんだってよ

なりたい自分 ページ10

いつもと同じ時間に目を覚まし、いつもと同じ時間に家を出る


いつも通りの毎日と違うのは両手に握りしめたこの入部届けだけだ





母〈Aがやりたいって言ったんだから責任をもって最後までやり遂げなさい。

お母さんはね、正直Aが友達と話さなくなったのは転勤のせいだと思ったの。


幼稚園の頃はすごく明るくて、友達とも毎日遊んでた。



でも、転勤で離れたことをきっかけに性格が変わってしまった。だから、申し訳ないって思ってるのよ〉





お母さんから、その話を聞いた時、違うと言いたくなった

これは、私のせいだ


確かに小さい頃はそうかもしれないけどそれでも私のせいなのだ





母〈だから、今の自分がもし気に入ってないなら部活を通して絆を見つけてなりたい自分になりなさいね〉






『…なりたい自分に……』





少し希望が湧いた
私のなりたい自分









『…宮下さん』




朝、学校についてから入部届けを閉まったカバンを握りながら宮下さんに声をかけた


教室では、多分普段何も言わない私から宮下さんの名前を呼んだことでざわついている





一度私を見てから立ち上がった宮下さんは私の横を通り過ぎて行った





が、






『宮下さん！』



手を掴んで、大声を出すとびっくりした顔で振り返る宮下さんに私も驚いて下を向く



でも、言わなきゃって思って、前を向いて真剣にこう言った





『あ、あの…ごめんなさい！…』





そう言って頭を下げた






『冷たい反応して…ごめんなさい…』




そう言うと、なかなか上から声が帰ってこないので深呼吸して宮下さんと顔を合わせる





『友達になってください…』





そう言うと目を細めた宮下さんは仁王立ちをした





宮「やだ」





思わぬ反応に焦る
あれ、こういうのっていいよって言う雰囲気じゃ



いやいや、あれだけ酷い対応したんだ
仕方ない






『…友達になってください』

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