episode 156 ページ26
「あの時さ…」
エ「あー…そうだそうだ、そんなこともあったな」
「私すっごく恥ずかしかったんだからね？」
私とエースは、港に着くまでの間…
ずっと思い出の話をしていた。
あの時こうだった、あぁだった、って。
今だから言える気持ちとかもあって…。
でも、そんな楽しい時間は…すぐ過ぎていく。
いつもは…もっと長いのにな。
ル「おーい！Aー！！」
ブンブンと手を振ってくれるルフィさんに、手を振り返す。
…あぁ、とうとう…離れるんだ。
なんだか急に、現実味を帯びてくる。
エ「…体に気をつけろよ」
「…エースもね？」
私は、あと一歩が重たくて…
今の環境を変えるのが、怖くて、エースの隣から進めない。
行くって、決めたのに…。
エ「A」
エースは、今にも泣いてしまいそうな私の名前を呼んだ。
顔を上げると、そこには…
太陽のような笑顔を私に向けるエース。
エ「愛してるよ」
あぁ…やっぱりこの顔、好き。
「私も…愛してる」
私も精一杯の笑顔で返すけど、ポロッと涙が零れてきてしまう。
大好きなの、愛してるの。
でも…離れるという、決断をした私を貴方は…
その笑顔で、受け入れてくれるから。
エ「浮気すんなよ？」
「し、しないよ…！エースもだからね」
エ「する訳ないだろ。俺がどんだけAのこと…好きだと思ってんだよ。」
エースは、しゃがんで、というように私に手招きをする。
私がエースの目線までしゃがむと、
エースは私の顔を、大きな温かい手で包み込んだ。
エ「大丈夫、だいじょーぶ。一生一緒にいること考えたら、こんなの少し離れるだけだろ？」
「…うんっ…！」
エ「…いってこい、A。」
エースは私の顔をぱっと離すと、私の背中を船の方へ、押した。
「…エース…っ」
エ「冒険の土産話、待ってっから！」
「うん…っ」
私は泣きながら頷くことしか出来なくて…
船に乗り込もうとすると、ルフィさんの腕が伸びてきて、甲板に乗せてくれる。
ル「出航だ！」
「…エース！！」
船が動き出した時、私は身を乗り出して、エースの名前を叫ぶ。
「……いってきます！！」
少しずつ遠くなる船。
エースは、大きく手を振った。
エ「いってらっしゃい！A！！」
私も、手を振る。
見えなくなるまで、ずっとずっと…手を振る。
いってくるね。
沢山の世界を見て、沢山の冒険をしてくるね。
待ってて、エース。
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椿(プロフ) - 初コメ失礼します。目元を真っ赤にして最後まで読ませていただきました…。大変感動しました！感動をありがとうございます。 (3月28日 14時) (
レス) @page30 id: 55a1978a33 (このIDを非表示/違反報告)
FUMori(プロフ) - ありがとうございます。本当に楽しませてもらったというか、感動しました！ (2022年10月10日 23時) (レス) @page30 id: f25375ba20 (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - とっても感動しましたっ。。本当にありがとうございました！ (2021年1月8日 19時) (レス) id: 1af688c46c (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 初コメント失礼します。涙が止まりませんでした。 (2020年6月10日 3時) (レス) id: 214545ce44 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりま(タピ犬) - 完結おめでとう！！ずっと泣いてました！これからも頑張ってね！ (2020年2月15日 2時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてこ
| 作成日時：2019年8月24日 15時
