episode 153 ページ21
その日は一日中、ぼーっとしてしまっていた。
エースを置いて旅に出るか…
このままエースといるか。
真剣に、考えていた。
今が幸せなのはもちろんだけど、エースが行けない分…
私が世界を見てきたい気持ちもあるの。
夜ベッドに入っても、悶々と考えていた。
「…ねぇエース？起きてる？」
エ「ん？」
ぎゅっとくっつくエースを見上げると、エースは珍しくまだ起きていた。
もし旅に出るなら…こうして一緒に寝るのも、しばらくないんだな。
「…私が海に出たら、寂しい？」
こんな質問…意地悪なのわかってる。
でも、ちょっとだけ…聞きたかった。
エ「そりゃまぁ…寂しいなぁ。抱き締められないしキスもできないし？その他諸々も…」
「ちょっと…真剣に答えてよ」
エースは私をからかうように笑って、そう言った。
ドン、と胸板を押すとちょっと笑って、ごめんごめん、なんて言う。
エ「寂しくないって言えば嘘になるけど、でもAと一生会えなくなる訳じゃねぇし…それに、Aが笑ってられんなら、俺なんでもいいんだ。」
「じゃあ別に…エースのそばでも…」
エ「そうなんだけど…俺海と太陽を背に笑ってるAが一番好きなんだよ。」
海と太陽…って、
まるで私とエースみたい。
私は海で、エースは太陽。
エ「…俺は絶対ここで待ってる。俺の事を抜きにしてさ、旅に出たいと思うなら行って欲しいんだ。」
エースは私の髪を撫でた。
エ「俺…Aを海に出してやればよかったって、後悔したくねぇからさ。」
俺のエゴだけど、なんてエースは付け足した。
エースのことを抜きにした時…そんなの、考えられない。
エースがいたから旅に出て、ここまで来たんだもん。
でも…
やっぱり私は…。
ザザン、と打ち寄せる波。
揺られる船。
それを、思い出していた。
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椿(プロフ) - 初コメ失礼します。目元を真っ赤にして最後まで読ませていただきました…。大変感動しました！感動をありがとうございます。 (3月28日 14時) (
レス) @page30 id: 55a1978a33 (このIDを非表示/違反報告)
FUMori(プロフ) - ありがとうございます。本当に楽しませてもらったというか、感動しました！ (2022年10月10日 23時) (レス) @page30 id: f25375ba20 (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - とっても感動しましたっ。。本当にありがとうございました！ (2021年1月8日 19時) (レス) id: 1af688c46c (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 初コメント失礼します。涙が止まりませんでした。 (2020年6月10日 3時) (レス) id: 214545ce44 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりま(タピ犬) - 完結おめでとう！！ずっと泣いてました！これからも頑張ってね！ (2020年2月15日 2時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてこ
| 作成日時：2019年8月24日 15時
