episode 151 ページ19
私達は話をする為に、2人で港の方へ出てきた。
「…ねぇエース…私、行く気ないよ…？」
ザァッと潮風が吹いて、私達の横を通り抜ける。
行く気がないのは本当。
エースがいたから海賊をしてただけだもん。
エースがいないなら、海賊をする意味が無い。
でもエースは、海を見ながら淡々と話し始める。
エ「……俺たまにさ、海に戻りたくなるんだよ。」
「…うん」
それは、知ってる。
夜中、1人でたまに港に来てるのも知ってるよ。
海が恋しくなる気持ちもわかる。
エ「でも俺はさ、もう海に出れねぇ。どんなに頑張っても、だ。」
それを聞いて、少し切なくなる。
こんなに海が好きで、海に生きた人が…もう海に出られないのは、どれだけ悔しいことだろう。
エ「…俺な、Aがたまに戻りたそうに海見てることも知ってんだ。」
「え…」
エ「…いいかA。」
エースは、私の頬を両手で包んだ。
その声は優しくて、まるで赤ちゃんに言い聞かせるみたいな声。
エ「俺と違って、Aはまだ冒険できるんだ。その足で、どこへだって行ける。」
エースは、目にいっぱい涙ためて…
これを言うのに、どれだけの覚悟が必要だったんだろう。
どれだけの勇気が必要だったんだろう。
こんなことを言わせてしまうなんて、私は…
どれだけこの人に、辛い思いをさせたんだろう…？
エ「広い世界、見てきてくれよ。」
「…エース…っ」
エ「俺の為に、夢捨てんな。」
力強く、私の胸にガツンと刺さる。
貴方の為に夢を捨てたわけじゃない。
冒険をしたい気持ちより…
貴方のそばにいたいっていう私の気持ちが勝っただけ。
私も、涙がぽろぽろ零れてきてしまう。
「…でもエース…っ、私エースと一緒じゃないと…」
エースの容態は、未だに安定しないまま。
もし私がそばにいない時に何かあったら…？
そんなの、後悔するに決まってる。
エ「…大丈夫、俺は必ずここで待ってる。Aの帰りを待ってるから。」
「……エース、」
エ「…今度こそ、Aはもう俺がいなくても大丈夫だ。」
エースは、私を力強く抱き締めた。
行ってこいという言葉とは裏腹に、まるで…
離さない、と言うように。
「……少し……考える、ね…」
エ「おう。」
確かに、海に出たい気持ちはある…
でも私には、貴方をここに置いて外に出るなんて…
考えたこと無かったんだ。
タイムリミットは、明日の夜。
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椿(プロフ) - 初コメ失礼します。目元を真っ赤にして最後まで読ませていただきました…。大変感動しました！感動をありがとうございます。 (3月28日 14時) (
レス) @page30 id: 55a1978a33 (このIDを非表示/違反報告)
FUMori(プロフ) - ありがとうございます。本当に楽しませてもらったというか、感動しました！ (2022年10月10日 23時) (レス) @page30 id: f25375ba20 (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - とっても感動しましたっ。。本当にありがとうございました！ (2021年1月8日 19時) (レス) id: 1af688c46c (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 初コメント失礼します。涙が止まりませんでした。 (2020年6月10日 3時) (レス) id: 214545ce44 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりま(タピ犬) - 完結おめでとう！！ずっと泣いてました！これからも頑張ってね！ (2020年2月15日 2時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてこ
| 作成日時：2019年8月24日 15時
