3分間だけ【サンジ】 (ページ2)

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目を奪われた。

それは、いつものメンバーで学食を食べていた、当たり障りのない毎日だったはず。

「あ、ナミ先輩いた！昨日の本お返ししますね」

ナ「あら！わさわざありがとう！助かるわ」

ナミさんに尋ねてきた、見たことない女の子。

真っ白い肌に、サラリと長い赤髪をなびかせた。

ル「ナミ、誰だそれ？」

ナ「食物栄養科の一年生よ、この間図書室で会って話が盛り上がったの」

「笠原Aです。よろしくお願いします」

ふわり、と笑った笑顔。

全てが心の真ん中を貫いた。

まるで、雷が落ちたような衝撃。

サ「…す、好きだ」

ウ「は？サンジ？」

俺はガタ！と席を立ち、彼女の手を掴んだ。

こんな出会い、一生ない。

彼女以上の人なんて一生出会えない。

サ「好きです！！俺と付き合ってください！！」

「む、無理です！！ごめんなさい！！」

出会ってからこの間、わずか3分。

俺は3分で恋をして、3分で大失恋をした。

…世界最速の恋だったと思う。

・

・

サ「うっ…うっ…」

ウ「そりゃおめー…あんな告り方したら振られるだろ…」

サ「だって運命だと思ったんだ！！彼女の周りに百合の花が見えて、キラキラ輝いてて…まるで天使だった…」

ゾ「お前いつも同じような事言ってるじゃねぇか」

サ「うるせぇー！！Aちゃんは特別だったんだよ！！」

3分だったけど、本気だった。

絶対彼女しかいないと思ったのに…こんなことってあるか…？

ナ「でも諦めるのは早いんじゃない？」

サ「えっ！！？」

ナ「だって、Aはサンジくんのこと何も知らなかったから断ったんでしょ。これから知ってもらえばいいじゃない」

ナミさん…！

ナミさんはなんて優しいんだろう…。

それに、そっか。

俺のこと知らないから断っただけ…だと思えば、これからいくらでも打つ手はある。

サ「…よぉーし！！俄然やる気が出てきた！！！」

それに彼女は同じ学科だったし、それを理由に話しかけやすいじゃないか！

サ「俺ちょっとAちゃん探してくる！！」

ナ「え？ちょっ！早まりすぎじゃ…」

ウ「あーあ…ナミのせいで暴走したぞ」

ナ「えっ！？あたしのせい！？」

それに、こんな一度振られたくらいで諦められる訳ない。

せめて友達になりたい。

少しでも君の近くにいたい。

俺は女の子大好きだけど、こんな気持ちになったのは初めてだから。

どうか、伝わりますように