麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ27)

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episode 27 ページ27

…どれだけの時間が経っただろう。

私は…私より弱いはずの中将に反撃できず、やられっぱなしになり…

建物の影で、ただ流れていく時に、どんどん溢れ出す血を見ながら、薄れゆく意識をなんとか保っていた。

中将は、私よりもずっと弱い。

階級は私より上だけど…私はサカズキを含め上の者に嫌われてたから、少将から階級が上がるのを止められていた。

だから…本来中将くらいなら、易々と倒せるけど。

今回ばかりは、反撃すれば離れた場所にいる部下に危険が及ぶ。

中将に反撃をするのは、最善策じゃないと思ったから…黙って耐えた、けど。

あのバカ…本気で昔の同僚を殺しにかかったわね…薄情な奴。

「…薄情なのは、私も一緒か…」

昔の部下を捨てて、1人海に出たんだもんね。

それなのにさ…まだあの子たち、私の事“少将”って呼んでくれるんだね。

…良い部下を、持ったな…。

でも、私の今の体はもうボロボロ。

足も腕も、何本か骨いってるし…なにより、今内臓がかなり損傷してる感じがある。

血も流しすぎた。

人は死ぬ時がわかるって言うけど…本当かもしれない。

…そろそろ、やばいかも。

ちょっと気を緩めたら、簡単に意識が飛びそう。

でも、意識を飛ばしたら最後…私はもうこの世に帰って来れないだろう。

部下たち…私のせいで捕まったのに…助けに行けなくてごめんね。

もう、目を閉じてしまいそう…。

その時、遠くから声が聞こえる。

ル「Aー！！どこだー！！」

「ルフィ……」

大通りで、ルフィが叫んでる声がする。

あぁでも…もう叫ぶ力もないや。

どうにか私の位置を知らせたいけど…私が死ぬところなんて見せたら、ルフィはきっと責任を感じるだろう。

見つからない方がいいかも、なんて…。

ル「Aー！！！…ん？あれなんだ？」

ルフィの足音が、近づく音がする。

もう見上げる力もなくて全くわからないけど…

ルフィの足音は、少し離れたところで一度止まってから、全速力で私の傍まで走ってきた。

ル「…おい！！？A！！？何があった！！！！」

「ルフィ…」

倒れる私の上半身を、少し抱えたルフィ。

やっと、顔が見れた…。

さっきまで張っていた気が、一気に緩む。

「ごめ……もうダメかも、」

ル「おいA！！！しっかりしろ！！！俺の知らねぇ所でやられて…死ぬんじゃねぇ！！！」

ごめんねルフィ…。

私は必死で叫ぶルフィを見ながら、そっと目を閉じた。