麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ20)

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episode 20 ページ20

私たちはくっついたまま、2人でダラダラと喋る。

ル「Aは故郷に帰ったら冒険やめるのか？」

「まさか！故郷がどんな島か知りたいだけよ」

ル「覚えてないのか？」

私は、幼い頃に海賊に売られた。

海賊が言うには、親がお金欲しさに私を売ったんだと言う。

でもその海賊たちは民間人に悪さをする訳ではなく、ただの夢追い人だった。

宝の地図を見つけてはそこに赴いて宝を探す。

私のこともすごく可愛がってくれたし、宝が見つかれば洋服も買ってくれたり、可愛らしい格好もさせてくれた。

身を守る術として拳銃も、彼らから教わった。

紛れもなく彼らは仲間で、私の家族。

誕生日なんて、毎回盛大に祝ってくれたしなぁ…。

沢山のお兄ちゃんがいるような感覚だった。

「私、生まれてすぐ海賊に売られたから」

ル「そうなのか！？えー！！なんだよ！Aも元々海賊だったのかー！！」

「うん。まぁ…すぐに捕まっちゃったけどね」

私が8歳になる頃かな…

私たち海賊団は海軍に捕まった。

何も悪さしてないのに、まるで見せしめとでも言うように、公開処刑までされて。

私はというと、知らない内に捕まったのではなく“保護”されたことになっていた。

よくわからぬまま海軍本部に連れていかれ、海軍の訓練を受けさせられ…。

私が海賊に守られたと気づいた時には、もう全てが手遅れだったの。

私のことをすごく可愛がってくれていた彼らは、幼い私の未来を案じて「ガキは捕虜だ」「奴隷として扱っていた」と海軍に話したという。

「…私の恩人なのよ」

もうみんな、処刑されてしまったけど。

みんながよく言ってた、「俺たちは誰の笑顔も奪いたくないから、誰も傷つけない」って言葉。

彼らが奪わないなら、私は「守ろう」と決めたの。

みんなが決死の思いで繋いでくれた私の命、無駄にしたくないから…海軍で頑張ること決めたんだよね。

ル「……そっか！会ってみたかったなー、Aの恩人」

ルフィの、会ってみたかった、って言葉はきっと、彼らが処刑されたことを悟ったんだろう。

「そうね…私も会わせたかったな」

きっと、ルフィと気が合うだろうな。

楽しいことが大好きで、宴ばかりしていたし。

「…今も、見守ってくれてるかな」

登り始めた朝日に向かって、ルフィは立ち上がって叫んだ。

ル「Aの仲間たちー！！今は俺がいる！！だいじょーぶだ！！ししっ」

そう言って笑う笑顔に、私も笑った。