この広い世界を、君と【ONE PIECE】

episode 29 ページ30

「エース！！戻ってきて！！一緒に逃げよう！！」


ぼうっと、私たちの前には高く燃える炎。

向こう側のエースに何度も叫び続けるけど、エースは何の反応もしない。

ただ、白ひげと何か喋ってる声が聞こえるだけ。


『A！！船長の言う通りここは危険だ…！！』

「でも…！！もう立ってるのがやっとなのに！！」


この向こう側で、エースはきっと、時間稼ぎをしようとしてる。

私達を逃がすために…。

無理しないでよ、私達のためなんかに命無駄にしないでよ…！！


その時、ドーン！！と大きな音がエースの方から聞こえる。


「エース…！！やだ、エース！！」


私は涙が溢れてきて、膝から崩れ落ちる。


『…A！！しっかりしろ！！』

「いっ、…！」


膝から崩れ落ちた私に合わせるように、船員がしゃがみこむと、私の顔を叩いた。


『エースを信じろ…！！こんなとこで死ぬような奴じゃないだろう！！お前は今まで何を見てきたんだ！！』

「あ、…」


炎の向こうで、絶えず大きな音が響く。

エースは確かに…私達を置いて死ぬような人じゃない。

俺は死なない、と…何度も口にしていたことを思い出す。


『ここは逃げよう…！俺達までやられちまったら、エースを誰が迎えに行くんだ！？』

「…うん…っ！！」



私達は、大きな音を背に…船に乗り込んだ。


お願い…エース、生きていて…。

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