第五話 ページ7
ヨ「ひどいっ！あんまりよスウォン」
今は乗馬も終わって父上の執務室でみんなで茶を飲んでいる。
因みにスウォンは忙しいらしく馬から降りたらすぐにどこかに行った。
ヨ「あんな嘘を信じるなんて…」
ずぅ〜ん…と、言うような雰囲気を醸し出しながら言うヨナに、思わず苦笑が出る。
(いや、気づかないスウォンもどうかと思うが、あの嘘は良くないぞ、ヨナ)
ハ「ひどいのはアンタだ。そして迷惑だ」
ハク、お前は嬉しかったんだろ？私は気づいてるぞ？
ん？父上が何か考えているな…
あまりいいことのようには見えないが…
イ「お前の結婚は嘘にならんかもしれんぞ」
………は？
ヨ「え…？」
急に何を言い出すんだこの人は…ヨナも唖然としている…
確かに皇女であるヨナにもそろそろ縁談は出てくるだろうが、唐突すぎるぞ？
イ「無論、相手は然るべきものを選ぶがな」
父上は何を考えている？
然るべきものとは、スウォンではだめなのか？
何より、ヨナにも王としての器は十分にあるのだから、そう言う意味での‘然るべきもの’は必要がないはずだ。
ヨ「父上？」
イ「じきお前は十六だ。婚約者がいてもおかしくないだろう」
では、然るべきものとは？
父上はヨナを大切にしている。
政治の道具にするとは思えない。
……だめだ、今回ばかりは本当に父上の考えがわからない…。
ヨ「や…」
ヨナ？
ヨ「嫌よ…私はスウォンが…「スウォンはだめだ」」
やはり、父上の言う然るべきものはスウォンではないと？
確かにあれは裏があるだろうが…
ヨ「父上に私の恋愛をどうこう言われたくないわ！！」
「ヨナ」
ヨ「兄上は黙ってて！！」
っ…ヨナ、だから王になれない。
お前は王になどなりたくないのかもしれない。でも…
でも、皇女の自覚はあるじゃないか。
器としての自覚さえあれば、お前は十分王になれるのに…
お前は…お前は、“王になるべくして生まれてきたのに”
ちょっと待て、“王になるべくして”？
なぜ私はそう思ったんだ？
わからない。なぜなんだろう…なぜ…
イ「私はこれまでお前が望むものはなんでも与えてきたよ。美しい簪に耳飾り。離宮に花の庭園。武器以外のものはなんでも」
イ「しかし、お前がどれだけ望んでもスウォンを与えることはできない」
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