第三十三話 ページ35
やはり犯人はハクではないか。
グンテが言う前にスウォンが次の言葉を発した。
ス「三人は現在捜索中ゆえ、この件は我々に任せて頂きたい」
ス「もし彼らを見つけたら城に連絡を。許可なく危害を加えたり外部に公表したりなさらぬよう」
グ「しかし」
反論しようとするグンテを抑え、スウォンが続ける。
ス「この件を公にすれば国内の混乱を招き、部族同士の争いを煽るだけでしょう
それでなくても国内は不安定で、いつ北の戒帝国や南の真、斉に脅かされるとも知れません」
そう、イル王の治世は、決していいものとは言えなかった。
戦争を避け続ける事だけでは民に平穏は訪れない。
かの王は、国という体を髪の先から切って、切って、身体に戦という刃が入ることのみを避けていたのだ。
…それでは、切られる民が酷というものだろう。
だが。
それがわかっていた皇子は、幼少よりその病弱な身体を押して国中の…時には隣国の視察をしていた。
その甲斐あって、最悪というわけではなかったが…それは、またの機会としよう。
ス「今は一刻も早く我々五部族が力を合わせ、高華王国を他国に侵されない強国にしなければ」
そんなスウォンの言葉に、各部族の長達は次々に同意をしめす。
真相を見抜き、それを許さぬ者一人を除いて。
スジ「それには…新王が必要ですな」
スジンのその言葉の後に、スウォンの参謀、ケイシュクが続く。
ケ「恐れながら…皇子と姫の不在の今、王家の血を引いておられるのはここにいる……
スウォン様しかおりますまい」
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