第二十四話 ページ26
再び目が覚めた時、まだ空は白んでいて、ハクもヨナも眠っていた。
こんなに早く起きたらあいつらが活動する頃にはもう一度寝てしまっているかもしれないと思いつつも、木々の間から覗く朝日を見る。
考えるのは、昨日までいたあの暗闇のこと。
父上とヨナと、平和に過ごした日々のこと。
あの暗闇から戻って来れたのは、ヨナとあいつらのおかげだ。
今何処に向かっているのかはわからないが、きっと近いうちにまた四龍は集結するだろう。
何故ならあいつらは王を渇望しているはずだからだ。
自分ではそんなつもりなくとも王を…緋龍を望んでいる。
それが四龍と言う戦士たちだ。
俺はそれまでの間、まだまだ王の“器”でしかないヨナを守っていかねばならないと改めて決意した時、ハクとヨナが寝ている方からガサゴソと音がした。
ハ「起きてたんですね、皇子」
「ああ、心配かけたな、ハク」
おはよう、と言葉をつづけると全くだ、と言われてしまった。
…返す言葉もないな。
「ところでハク、まだ俺を名で呼んでくれないのか？」
今にもぐちぐちと怒り出しそうなハクにそう聴いて話題を変える。
ハ「…以前も言ったように、身分はわきまえてますよ。A皇子殿下」
はい、名前呼びましたー
とハクが言った。
「いやそうじゃねぇから」
ついつい前世譲りの皇族らしからぬ言葉が出てしまう。
いや、それでいいのかもしれないな。
ハ「そういえば、少し変わりましたね。主に言葉遣い」
「あー…まぁ、もう皇子じゃないからな」
ハ「…と、言うと？」
「俺は今、皇子じゃない。高華の次の王はスウォンだろう。…元より、“私”は王としては役不足だしな。
“俺”としては、皇子であるよりもヨナの兄でありたい。それに、俺はまもられるよりまもるほうが向いてる」
そう伝えると、ハクは面白くないと言う顔…ただの般若顔で、
ハ「あいつが王位に着くことを認めるんですね」
と、いった。
……ハクが言いたいこともわかる。
父上を殺．し、俺を殺.そうとし、ヨナを殺.そうとした男が王位に着くと言うことを他でもない俺自身が何故認めるのか。
きっと、何故恨まずに憎まずにいられるのかと思うだろう。
「…かつての私ならば、スウォンを恨んだかもな」
小声でそうこぼすとハクは勢いよくこちらを見る。
ハ「それはどう言う」
ハクの問いに、被せるようにしてその話はまた後でと声をかける。
ヨナが起きたのだ。
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