護るべきもの (ページ15)

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第十三話ページ15

そうだ、私は…俺は、緋龍を護るために生まれたんだ。

そして、この国を守るために生まれたんだ。

あの、赤い髪の男は緋龍。白い大男は白龍で、緑の優男は緑龍で、青い綺麗な青年は青龍。黄色いあどけない少年は黄龍だ。

ああ、そうだ。

思い出した。

『お前の兄として産まれお前を守ろう』

『それが俺の宿命だから』

そうだ…そうだった…

俺は灰龍だ。

炎を守り、炎があるところに生まれる。

思い出して仕舞えば簡単だ。

ヨナを王に望んでたのは、あの子が緋龍だから。

なぜか抜け道がたくさんわかったのは俺が作った道だから。

そして、思い出せと言った声は、俺が思い出せなかった時のために施しておいた細工。

この下には、俺の前の体が眠っている。

思い出して仕舞えば、簡単だったんだ…

さあ、起きなければ。

どれだけ傷が痛もうが、どれだけ意識が重いとしても、俺がいかなければならない。

どんな時も緋龍を護るため、俺は龍のままこの世に降りてきた。

それは肉体が変わろうと変化しない事実。

さあ、ヨナが待ってる。

まだ、間に合う。

「っ……う…」

意識が戻れば、傷の度合いを確認する。

よし、大丈夫そうだ。

特に大きいのは腹と背中。

なんとか動ける。

星の傾きからして、もう数刻はただだろうか。

ヨナは、どこだろう。

取り敢えず、父上の執務室近くの庭まで行こう。

ヨナが危なくなる時は決定的な瞬間を目にした時だ。

そう確信し、執務室に向けて少しずつ歩き出した。