俺が落とす【男主】 (ページ5)

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「ヒョン、ごめんなさい。」ページ5

その日から彼は、俺と全く関わらなくなった。

俺は友達としては相当好きだったからショックで、なんとか仲を取り戻そうとした。

しかし、彼は俺と目を合わせることすらしない。

拒絶。

そりゃそうだ。

本当なら、別れた男となんて会いたくもないだろう。

同じグループでやっていくなんて無理がある。

このことは他のメンバーは全く知らず、はてなマークを浮かべるばかりであった。

1度ヒョンに怒られたことがある。

2人揃って呼び出されて正座させられて説教。挙句の果てに向かい合わせにされて何があったか知らないが、お互い謝れ！と言われた。

チャンビンはそのときも目を合わせてはくれなかった。虚ろな目で床を見つめるばかりであった。

俺から謝るしかない。

そう思って床に額をつける。

「ごめんなさい。」

真剣に、真面目なトーンで言ったつもりだったが、相手は全くの無反応。

ここまで来たら、ちょっとこっちも腹が立ってくる。

そりゃあ悪いこともしたし、俺と話したくないのも分かる。目も、合わせたくないだろう。

でも今は、上っ面だけでも謝れよ！！！

「チャンビン」

ヒョンがそう言った瞬間、彼は部屋から出ていってしまった。

驚いて顔を上げる。

「 …………お、おい。お前がなんかした方だったのか？あいつ、泣いてたぞ」

それを聞いて、動けなかった。

相当な傷を作ってしまったらしい。ちょっとやそっとじゃ治らない傷を。

「 ……何も、聞かないでくれ」

そう言って、目を逸らした。

BC「じゃああんまり表に出すなよ。特に撮影中とか練習中とか、お前らだけの問題じゃないんだからな。」

その通りだ。

リーダーの言うことには逆らえない。

「 ……わかった。」

俺がわかっても、意味無いのに。

その日からもっと状況は悪化した。俺はそれでも皆の前では取り繕っていた。絡むことがないように、並ぶときも隣は避けていたり、彼がウケを狙ったときは盛大に笑ったりもした。

が、その壁はどんどん厚くなっていくばかりで。

それでも俺は、心に蓋をした。

どれだけ避けられても、無視され続けても、怯えた目で見られても、前のように戻りたかった。

そして何よりも、彼と付き合っているときより彼を意識して、執着している俺がいた。

だからといって、好きという気持ちが芽生えた訳ではないが。