「自分はどうなってもいいから」 ページ26
「 兄ちゃんさあ〜しぶといねえ〜。教えてくれるだけでいいんだよ？メンバーのスキャンダルとか。あるでしょー？ 」
ヒートで体は言うことを聞かないし、頭は朦朧として働かない。でも、口はきゅっと結んだまま開けない。
さっきからずっと殴られたり蹴られたり。
幸い相手は皆βのようで、襲ってきたり、噛まれたりすることはなかった。
「 …俺らも時間あるわけじゃないんだよね〜 」
そういってヤツは、蝋燭に火をつけた。
俺の体の上で。
やめろ、とも離せ、とも言う気力すらなかった。
ポタッ
蝋が体に落ちた。
焼けるように熱い。
痛い。
苦しい。
そんなときでも思い浮かぶのは、ヒョンだった。
会いたい。
死ぬ前に、会いたい。
「 叫びもせんのかよ、ハハッこりゃあ参ったな 」
そう言ってヤツは立ち上がって奥に消えていった。
他の男達が容赦なく俺を殴り、蹴り、切り傷までつけた。
感覚すらも無い。
痛みより、快楽の方が勝つなんて。
この体が嫌い。
大っ嫌い。
「 ………殺してください 」
数時間経ってやっと出てきた言葉は、それだった。
どうせ報われないなら。
どうせ結ばれないから。
死んだって誰も悲しまないし
こんな厄介なやつ、いなくなった方がいい。
「 ……殺す前に1発かましてやるよ 」
奥から出てきた男にドクンと心臓が鳴る。
あれは
αの目だ。
息が荒くなって、本能で逃げようとする。
でも、鎖に繋がれていて逃げられない。
「 兄ちゃん可哀想だから俺が最後につがってやるよ 」
首に向かって一直線。
………噛まれる。
そう思ったら、さっきまで死にたいって思っていたはずなのに、嫌だった。
噛まれるのは、嫌だ。
＿＿＿＿＿噛まれるなら、Aヒョンがいい。
一滴の涙が落ちた。
その瞬間、だった。
俺の首を噛もうとしていた男が目の前で倒れた。
「 自分の身は自分で守れっつったろ、このバーカ 」
ヒョンの顔を見て、目から涙が溢れ出した。
助けに来てくれた。
なんで、なんでそんなことするの。
期待、させるの。
「 ………っ、う、 」
我に返ったら痛みが急に走ってきて、耐え切れずに意識が遠のいた。
.
「 ………全員倒すとかもうアイドルじゃない 」
「 格闘家とか目指そうかな 」
「 ……………ごめん……ごめんなさい……っ 」
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梦(プロフ) - ありがとうございました！ (2021年5月3日 23時) (
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作者名：梦 | 作成日時：2021年2月8日 0時
