俺が落とす【男主】 (ページ21)

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「本能と理性、どっちが勝つの？」ページ21

でも俺の体質的に無条件に興奮してしまうから、相手がヒート以外のときでも、っていうことか。

「とりあえず、好きなら幸せにしなきゃ」

じゃあね、と言って脱衣所から出ていった。

幸せ。

アイツにとっての幸せって何？

アイツの好きな物ってなんだろう。

それすらも分かんなくて、好きって言っていいのか？

再びモヤモヤしたまま、脱衣場を出ると前を見ておらず勢いよくぶつかってしまい、よろけた相手を抱き締めるように腕を回してカバーしてしまった。

他のやつならなんのその、相手はチャンビンだった。

思わず焦ってパッと離してしまう。

これじゃあまるで接触を嫌がってるやつみたいだ。

「っ、！？」

しかしその瞬間、あまりの高揚な香りに自分がよろけてしまった。

頭がクラクラする。

無意識のままに相手の腕をものすごい力で掴んでいた。

「ヒョ、ン…ｯ、い、た、…い、」

＿＿＿＿このままじゃ、襲う。

「俺を力いっぱい殴れ…っ」

「～～っそんなこと、」

「頼む…っ意識が、ある内に、」

判断に迷っている相手を横目に、震える手で横にあった引き出しを開ける。

確かここには、カッターが

そう思い、探し出して、思いっきり刃を出す。

「ヒョン？！」

「 …っ大丈夫、だから…っ！！！！」

思いっきり腕に刺し、血がポタポタと垂れてくる。普段から貧血気味な俺にとって、血は希少価値だ。すぐに貧血が起こり、倒れてしまった。

「ヒョンｯ、ヒョン……！！」

「 …っ、くす、り、のめ…ｯばか、」

「ごめ、ん、」

「 …誰がαかなんてわからねぇんだぞ…っ、じぶん、のみくらい、じぶんで、まも、れ、」

そう言って意識が遠のいていった。

❁

ｶﾞﾁｬﾝ

「はぁ…ｯ」

ヒョンはやっぱりαだった。

それを身をもって思い知った。

あの瞳、獲物を狙う狼のような瞳が忘れられない。

全身がよだつような気持ちになった。

腕を触られただけなのに、そこの火照りが消えない。

…あぁ、

きっと運命なんだ。

ドクンドクンと心臓が高鳴る。

一目見て分かった。あれは、運命のαだ。

「 Aヒョン、Aヒョン……ｯ」

こんな最低なことをしてる。

手一杯に何度も何度も欲を吐き出す。でも、足りない。

後ろが疼いて仕方ない。

あぁ、叶わないのかな。

＿＿＿＿＿どうしても、Aヒョンが好き。