「普通ってなんだろうね」 ページ17
「 ……っ、うー…… 」
やっぱり酷い対応なんて俺には出来ない。
でも、スンミンにとっては俺が優しくしたり、話したりするだけでも心が痛いんだろうな。
その気持ちは俺だって痛いほどわかる。
好きな人といるときは心臓が止まってしまうかと思う。
脈が無いと察したら痛くなって、ギューっと締め付けられて、涙が出てくる。
思わせぶりは本当に辛い。
慣れないと、いけないってことかもな。
「 ……大丈夫？ 」
ハッとして顔を上げようとして、静止する。
声で分かった。
嫌という程心臓が跳ね、鼓動が早くなる。
「 …俺もう、お前に変な態度取りたくない 」
その言葉に、ゆっくりと振り返る。
Aヒョンは、真剣な顔でこちらを見つめていた。
それは、期待していい顔？
「 ……俺は 」
＿＿＿＿今でも好きだよ。
口から出た言葉は
「 普通にしたい 」
嘘だった。
❁
「 俺は普通にしたい 」
チャンビンの言葉に目を見開く。
あんなに俺のことを避けて、嫌がっていたのが嘘だったかのような笑顔だった。
しかし何故かその笑顔が霞んで見えたのは、雨だからだろうか。
「 …………一緒に出掛けてくれんの？ 」
震える口でそう言った。
自分では分からなかったが、結構心にきていたらしい。
瞳孔が揺れ、一滴の雫が落ちる。
雨と混同して気付きませんように。
彼は正面から俺を包み込んで、抱き締めた。
「 …当たり前だろ 」
そのとき彼が何を考えていたのか全く検討もつかないが、ただ、その温かさに涙が止まらなくなるだけだった。
そのあとチャニヒョンにこっ酷く怒られた。
「 なんでみんなこんなびしょ濡れなの！！風邪でも引いたらどーすんの！ 」
「 まさかこんな降るとは思わなかった 」
「 確かにな 」
チャニヒョンは俺らに甘い。
パフォーマンスについては厳しいけど、普通に関わる分には優しさで溢れている。
本当に弟達が好きなんだろうなあ。
こんな次男でごめんな。
2人でベンチに座っていて、チャニヒョンの肩にこてん、と頭を乗せる。
「 どしたー？ 」
「 ……なんかもう疲れた 」
「 この世の終わりみたいな顔すんなよ 」
頬を引っ張られて、いひゃい、とぼやく。
そしたら次は頭を撫でられた。
「 ……頑張りすぎはよくねぇぞー？ 」
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梦(プロフ) - ありがとうございました！ (2021年5月3日 23時) (
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作者名：梦 | 作成日時：2021年2月8日 0時
